AI採用を企業が導入するメリット・デメリットとは?導入事例も紹介
2024.02.23
求人スカウトや履歴書などの書類選考、面接などの選考過程で、AIを活用した採用手法を「AI採用」と呼ばれています。
デジタル技術の進化やリモートワークの増加により、AI採用を取り入れている企業は、確実に増えていると言えるでしょう。
本記事では、採用現場で実際にどのようにAIが使われているのか、そのメリットやデメリットなどをご紹介。
AI採用を上手に活用すれば、効率の良い人材獲得に繋がるはずです。ぜひ最後までご覧ください。
※「自社の採用現場でどのようにAIを取り入れるべきか」「効率の良い採用活動を行いたい」など、採用方法を検討している方は、採用広報支援を行なう「hypex」にご相談ください。相談料は一切かかりません。予算や目的などをオンラインでヒアリングし、最適な提案をいたします。
AI採用とは選考過程でAIを活用する採用手法のこと
そもそも「人工知能AI(Artificial Intelligence)」とは、人間の知能を機械学習させる技術のことを差し、さまざまな業種に活用されている技術です。今や事業成長には欠かせないものと言えるでしょう。
選考過程においては、マッチ度の高い人材をAIが選び、オファーメールの文章もAIが作成してくれます。面接もAIに任せることが可能です。
実際に、HRテクノロジーの市場規模は大きく拡大しており、2025年には3,000億を超える規模にまでのぼることが予想されています。
出典:株式会社シード・プランニング「HRテクノロジーの現状と将来展望 2021年版」
では実際に、AI採用を活用している企業はどのくらいあるのでしょうか。
株式会社マイナビの調査によると、「AI面接を受けたことがある」と回答している人は、2022年は19.3%でした。
出典:「転職動向調査 2023年版 p53」株式会社マイナビ
すでに多くの企業でAI面接を取り入れていることがわかりますが、一方で、AI面接を受けたことで「受験意欲が下がる」と回答している方は半数以上います。
特に50代の男女においてはその数値は高く、選考においては人とAIをうまく使い分けることが大切だと言えるでしょう。
AI採用の活用方法とは
具体的に選考過程においてどのようにAIを活用していくのか、3つの場面での活用例をご紹介します。
- 求人媒体での活用例
- 適性検査(書類選考)での活用例
- 面接での活用例
求人媒体での活用例
AIを採用している求人媒体を活用すれば、自社でシステムを作るなどの手間なくAIを駆使した採用活動が可能です。もしかしたら、いつの間にか既に利用しているパターンもあるかもしれません。
AIを採用している求人媒体では、以下をAIが行なってくれます。
- 求める人物像を登録し、マッチ度が高い求職者をAIが絞り込む
- マッチ度の高い求職者に対する広告表示
- マッチ度の高い求職者に対するオファー
- スカウトメール文の生成 など
「マイナビバイト」や「Indeed (インディード)」は、AIを活用したマッチ度の高い求職者に対する広告表示機能を搭載しています。
求人媒体がどこまでAIを活用しているかにもよりますが、条件に合う求職者の絞り込みからオファーまでをAIが行ってくれる場合もあり、効率よく自社が求める人材確保が実現するでしょう。
適性検査(書類選考)での活用例
書類選考でもAIの活用が可能です。過去の採用者のESや履歴書、自社が求める人物像をAIに学習させ、自社とのマッチ度をAIに判断させます。
過去の採用者のデータが多いほど、AIの機械学習によって精度が上がり、よりマッチ度の高い人材の絞り込みができます。
株式会社マイナビと株式会社三菱総合研究所が共同運営する「praio(プライオ)」は、候補者のエントリーシート等の情報をもとにAIが学習し、スコアリングした分析結果をAIが出してくれるサービスを提供しています。
面接での活用例
面接の採用現場では、以下のような場面でAIが活躍します。
- 候補者との日程調整
- 面接の録画データをもとにAIが分析
- AIが面接で質問を行いデータを収集・分析 など
録画データをAIが分析するパターンと、AIが実際に面接を行なうパターンがあります。
AIによる面接では単に与えられた質問をしていくのではなく、回答を深く掘り下げた質問が可能です。また、AIは候補者の表情や声などからも自社にマッチした人材であるかを評価できます。
株式会社タレントアンドアセスメントが運営する「SHaiN」は、AIが面接にてヒアリングを行い、面接評価レポートも提出してくれるサービスを提供しています。
AI採用を導入するメリット
企業がAI採用を導入するメリットは、以下の5つが挙げられます。
- 費用や工数の削減に繋がる
- 公平な採用が実現する
- 応募者とのスケジュール調整がしやすい
- 会社のアピールに徹することができる
- 応募者の本音を引き出せる可能性が高まる
費用や工数の削減に繋がる
採用担当者は掲載する求人媒体の選定や管理、応募者との選考管理など、業務は多岐にわたります。
AIは、マッチ度の高い求職者への広告配信・絞り込みから面接まで、採用に時間のかかる主な行程の代行が可能です。
どこかの選考過程でAIを導入することで、採用担当者の負担を大きく減らし、人件費の削減にも繋がります。採用担当者の工数に余裕ができれば、入社後の採用者の研修などの業務に時間を割くことができるでしょう。
公平な採用が実現する
採用活動では、採用担当者の価値観や経験などによって、どうしても判断にばらつきが出てしまうリスクがあります。
AI採用であれば、事前に設定した客観的な判断基準に沿って評価が行われるため、公平な採用が実現する点は、AI採用を導入する大きなメリットです。
応募者とのスケジュール調整がしやすい
AI面接を導入すれば、採用担当者の日程を確保する必要がなく、応募者の都合が良い日時に面接を行うことができます。応募者とのスケジュール調整も手間なく可能です。
採用担当者や応募者の面接日程が確保できないことによる雇用機会損失を防ぎ、かつ採用担当者の面接時間やスケジュール管理の工数削減にも繋がるでしょう。
会社のアピールに徹することができる
採用担当者は自社にマッチした人材確保のために、応募者の選定に多くの時間をかけつつ、その他にもさまざまな業務をこなします。会社の魅力など、自社をアピールする機会がなかなか取れない企業は少なくないはずです。
マッチ度の高い求人の絞り込みや面接、情報収集、評価などにAIを活用すれば、余裕ができた時間で、会社の事業方針や魅力など自社のアピールに時間を割くことができます。
自社のアピールに時間をかけられれば、より多くの応募者が確保できる可能性が高まり、また入社後のミスマッチ防止にも繋がるでしょう。
応募者の本音を引き出せる可能性が高まる
株式会社マイナビの調査によると、AI面接を採用する企業に対して「受験意欲が高まる」と回答した主な理由として、「気楽に受けられそうだから」「緊張しなさそうだから」が挙げられていました。
出典:「転職動向調査 2023年版 p58」株式会社マイナビ
面接と聞くと緊張を覚える方は多いかもしれませんが、相手がAIであれば緊張がほぐれ、より応募者の本音が引き出せる可能性がある点は、メリットの一つと言えます。
※AI採用の内容は理解したものの、自社の選考過程においてはどこが効率化できるのか、そもそもAI採用を導入すべきかなど、採用計画にお困りの方はぜひお気軽にご相談ください。企業に合わせた採用計画をご提案いたします。
AI採用を導入するデメリット
AI採用の導入にはメリットだけでなく、デメリットもあります。
- AI採用の導入にコストがかかる場合がある
- AIだけでは潜在能力やポテンシャルは判断できない
- AI採用に抵抗を持つ人がいる可能性がある
- AI学習用のデータが必要
AI採用の導入にコストがかかる場合がある
ESや履歴書などの書類のAI評価や、AI面接・評価ツールを導入する場合、導入コストが発生する点はデメリットの一つです。
例えば、AIによる面接と評価レポート作成が可能なサービス「SHaiN」は、1件の評価につきプランごとに以下のコストがかかります。
画像引用:SHaiN
費用対効果を踏まえ、導入すべきか判断する必要があります。
AIだけでは潜在能力やポテンシャルは判断できない
AI採用は、書類や質疑応答結果だけでなく、表情や声などからも自社とのマッチ度を評価してくれますが、それはあくまでも蓄積データに基づいた評価結果です。
応募者が持つ潜在能力やポテンシャル、熱意などの部分は、現段階ではAIに評価させるのは難しいでしょう。
書類選考や確認しておきたい最低限のことはAIを活用し、最終的な判断は採用担当者が決めるなど、うまくAIとの役割を分ける必要があります。
AI採用に抵抗を持つ人がいる可能性がある
先ほどご紹介したように、AI面接を受けたことで半数以上の方が「受験意欲が下がる」と回答していました。その理由として、主に以下が挙げられています。
- 「AIに判断されたくないから」
- 「会社の雰囲気がわからないから」
- 「AIの精度が信用できないから」
- 「感情や空気を汲み取ってもらえないから」 など
出典:「転職動向調査 2023年版 p59」株式会社マイナビ
入社後のミスマッチを防ぐために、社風や事業内容などの説明のほか、「AI採用を導入している背景や活用方法」「最終的な判断は人が行っている」など、採用に対する企業の姿勢もきちんと伝えておくことが大切です。
AI学習用のデータが必要
AIは機械学習をして精度を高めていくため、過去のデータ量が多いほど採用評価の精度が高くなるものです。
採用規模の大きい大手企業であれば、AI採用を導入することで精度の高いAI評価が得られますが、これまで応募者や採用者の人数が少ない場合は、AIに高度な評価を求めるのは難しいと言えます。
最初は一部の「応募者の絞り込み」「マッチ度の高い求職者に対する広告表示」「面接の日程調整」などでAIを活用しながら、データを蓄積していくのが良いでしょう。
AI採用をより効果的に活用するためのポイント
AI採用を検討している方に向け、より効果的に活用するための3つのポイントをご紹介します。
- 求める人物像を明確にする
- まずは求人媒体や適性検査で導入する
- AIに頼り過ぎない
求める人物像を明確にする
AIにマッチ度の高い人材を評価させるには、ただ過去のデータを蓄積させれば良いわけではありません。自社が求める人物像や採用基準のデータも必要です。
より具体的に求める人材や基準を設定できれば、マッチ度の高い人材へのアプローチができるでしょう。
まずは求人媒体や適性検査で導入する
AIを導入している求人媒体の活用や、適正検査のAI評価の活用などは、コストが抑えられ手軽に利用できるAI採用方法です。
初めてAI採用を導入するなら、まずは求人媒体でAIによる「絞り込み機能」「マッチ度の高い求職者に対する広告表示・オファー機能」を使ってみることをおすすめします。
AIに頼り過ぎない
応募者のスクリーニングから合否判定まで、ほとんどの選考過程をAIに任せることは可能ですが、応募者の潜在能力や熱意までは、まだAIで評価するのが難しいです。
AI採用に頼りすぎると、似たような考えや経歴を持つ採用者が増え、組織の多様性が損なわれてしまったり、魅力的な人材を逃してしまう可能性も。
選考過程のどこかで人による評価を取り入れ、人間的な要素が考慮できる採用現場であることが望ましいでしょう。
AI採用を導入している企業の例
株式会社ヒューマネージの調査結果によると、2018年の段階で既に約5%の企業がAI採用を導入しており、4社に1社(約26%)がすでにAI採用を導入・準備中・検討しているという結果でした。
現在はさらに多くの企業が、AI採用を導入していることが予想されます。
出典:株式会社ヒューマネージ 「AI採用に関する企業アンケート調査」2018年8月30日調査
実際に選考過程でAIを導入している、以下5つの企業の事例をご紹介します。自社でのAI採用導入を検討している方は、ぜひ参考にしてみてください。
- ソフトバンク株式会社
- 株式会社吉野家
- ピジョンホームプロダクツ株式会社
- 株式会社阪急阪神百貨店
- 横浜銀行
ソフトバンク株式会社
画像引用:ソフトバンク株式会社
ソフトバンク株式会社は、これまで総合職に実施していたグループディスカッションや集団面接を廃止し、面接時の動画データから自動でAIが評価を行なうシステムを2020年に導入しました。
合否判定もAIが行い、不合格と判定された動画は人事担当者が確認。現段階では最終判断は人が行ない、正確性を担保しています。
参照:プレスリリース「新卒採用選考における動画面接の評価にAIシステムを導入」_ソフトバンク株式会社
株式会社吉野家
画像引用:株式会社吉野家
株式会社吉野家は、アルバイト採用に「SHaiN」が提供するAI面接サービスを導入し、「応募者のドタキャンによる機会損失の削減」「採用しない人との面接をなくす」「アルバイト雇用にマッチした応募者の採用」が実現。
応募から初日勤務までの期間を短くし、スピーディーな選考を目指しています。
参照:プレスリリース「吉野家の関東エリアでのアルバイト採用においてAI面接サービス SHaiN EX ライト本格導入開始」_株式会社吉野家
ピジョンホームプロダクツ株式会社
画像引用:ピジョンホームプロダクツ株式会社
赤ちゃん向けの商品を扱うピジョンホームプロダクツ株式会社は、株式会社マイダスアイティジャパンが提供するAI採用ソリューション「inAIR(インエア)」を導入。
新型コロナウイルス感染拡大の影響で実施困難となった、新卒採用時の「グループワーク」や「適性検査」の代替として「inAIR」を採用し、表面的な部分だけでない候補者の素の部分の分析や、選考活動における業務効率化が実現しています。
参照:プレスリリース「新卒採用でAI面接×ゲーム型コンピテンシー検査「inAIR」活用開始」_株式会社マイダスアイティジャパン
株式会社阪急阪神百貨店
画像引用:株式会社阪急阪神百貨店
株式会社阪急阪神百貨店は、新卒採用においてタレンタ株式会社が提供する、録画型の面接データをAI分析して社会人基礎力の測定ができる「HireVue(ハイアービュー)」を導入。
「HireVue」により全学生の基礎力を公平に判断し、録画動画を人事担当者の目でも確認するハイブリッドな選考で、多種多様なタイプの人材確保や業務効率化が実現しました。
横浜銀行
画像引用:横浜銀行
横浜銀行は、2019年度の新卒採用からエントリーシートの選考に、株式会社FRONTEOが提供する人工知能「KIBIT(キビット)」を導入。
これまでは、採用担当者が数千件のエントリーシートを確認する必要がありましたが、AI導入により採用業務の7割の削減が実現しています。
参照:FRONTEO の人工知能 KIBIT、横浜銀行の新卒採用の選考に活用_株式会社FRONTEO
【まとめ】まずはAI活用方針を明確にしてAI採用で効率的な採用活動を
AI採用を取り入れることで、採用担当者の工数を削減し、効率的に自社とのマッチ度の高い採用者を確保できる可能性が高まります。
一方で、AI導入にかかるコストの発生や、ある程度人による評価も取り入れる必要があり、導入前にあらかじめ自社でのAI活用方針を明確にすることが大切です。
hypexでは、AI採用導入も含め、貴社の採用方針に合わせた採用計画をサポートします。現状の課題や採用の目的、ターゲットなどをヒアリングし、最適な採用広報をご案内しますので、気軽にお問い合わせください。
成長企業における採用ブランディング・採用マーケティングを専門とし過去2年で50社以上を直接支援。前職では、月間150万利用者数を超える医療・美容のWebサービスの事業責任者、兼経営陣として組織の成長を牽引。成長組織におけるOKRを利用した評価制度の構築や外国人、ジェネレーション、女性、LGBTQ+などのダイバーシティ・マネジメントに尽力。