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発信軸を定めて活躍できる人材の獲得へ。中長期的に挑む採用広報の価値とは

2022.08.18

ゲーム開発会社の取り組んだ3DCGデザイナー、ゲームプランナーの採用広報

こんにちは、株式会社hypexです。企業の採用活動において、近年ますます「採用広報」の重要性が高まっています。必要な人材を獲得するためには、積極的な発信で自社の魅力を伝え、候補者の応募意欲を高めることが欠かせません。

そこで今回取材したのは、CG・グラフィックデザイン制作やゲーム開発事業を展開する株式会社DCG Entertainment。2021年よりhypexとともに中途採用のコンセプト作りから見直し、戦略的な採用広報に取り組んできました。

その結果、企業としての強みや発信軸が明確になり、実際に活躍できる人材からの応募数が増えているなどの成果を上げています。採用サイトのリニューアルやSNS広告といった施策を含め、担当の杉本さんに詳細を伺いました。

株式会社DCG Entertainment・企業概要>

■設立:2016年4月1日

■所在地:愛知県名古屋市中村区名駅5-27-13 名駅錦橋ビル8F

■事業内容:CG・グラフィックデザイン受託制作、在宅型人材ソリューション、スマホゲームアプリ開発

■募集職種:3DCGデザイナー

短期的な施策では限界を感じ、中長期的な採用広報へ

――まずは、採用広報に取り組むことになったきっかけを教えてください。

僕は2020年6月に入社し、その3ヶ月後には中途採用を担当することになりました。業務を引き継いでいく中で、まずは採用手法や書類選考、面接の仕方、求める人物像のすり合わせが必要だと感じました。

10月には1人採用したいということで、何とかエージェントを通じて採用しましたが「こんなに労力をかけてやっと1人か」という感じでした。その後色々なエージェントに依頼しても紹介は増えず、11月以降になると閑散期に入り、採用が進まない状態でした。

媒体などをはじめとする採用サイトの情報も多少は調整していましたが、応募が来るような手応えもありません。手っ取り早く結果を出すには限界がある、小手先のやり方や短期的な目線では無理だなとその時に実感しました。そこで採用広報について考え始めたのが、2021年1月頃のことです。

時間に余裕が出た時に求人媒体への掲載も試しましたが、まだ高い目標のためには他の施策も同時進行する必要がありました。活躍できる人材=経験者からの応募にはつながらず、限られた期間内で獲得するのはやはり難しいと分かりました。

――その後、弊社からコンセプト作りを含めた提案をさせていただきました。当時どんな思いでしたか?

今後採用は中長期で取り組んでいかなければと考えていた時に、hypexさんからタイミング良くご連絡をいただいて。そこから一度話を聞いてみようという流れになりました。僕が面談や面接で候補者の方に会社の魅力を直接喋らなくても、発信した内容を通じて候補者の志望度を上げ、最終的に内定につなげられるようなコンテンツができたらいいなと。当時は漠然とそんなことを考えていました。

また、戦略を進める上では、現在地をしっかり確認することが重要だと思うので、第三者からの視点で「何を・誰に」発信するのか、今の状況を整理してもらいたいという期待もありました。

採用要件 - カルチャー
プロフェッショナリズムとは
- ニーズに応える→課題解決
- 目的意識→目的があり完遂する
- 好奇心→難しさの中に楽しさを見出す
- 謙虚心→学び続ける
- 当事者意識→自己犠牲のない自己責任

キャプチャ:採用コンセプトの中で言語化したDCGが考えるプロフェッショナルリズム。

活躍できる人材=経験者からの応募が明らかに増えた

――今回大きな施策として、ホームページのリニューアルを実施しています。この意図や方針について教えて下さい。

自社ホームページの採用ページに情報を集約させたいという考えがありました。

しかし、当時は簡易的に採用ページを作成できる外部システムを使用している状態で、情報の集約はしづらかったですし、自由に編集もできませんでした。実際に入社した人からも「もう少しホームページの情報を増やしてもいいですよね」と言われることもあり、このタイミングでリニューアルしようと決めました。

具体的には、主に同業他社のサイトを参考にして、流行や見せ方を踏まえた上で作り変えています。数字で見るコンテンツやインタビューページを作り、弊社の強みである働き方も分かりやすく伝わるようにしました。

また、以前hypexさんに作成していただいた研修に関する記事がよくまとまっていて、社内の評判も良かったんです。そこであらためて「働きやすさ×研修」が弊社の強み、コアになる部分だと再認識できたので、研修についても前面に出していきました。

――具体的には、どのような発信をしていきましたか?

ホームページを作り変えるなら、特集やインタビュー記事など、リアルタイムの情報をどんどん出していきたいと考えていました。生の情報を継続的に伝えることで、DCGについてもっと知ってもらいたいと。

ただ、意外とリニューアルには時間がかかってしまったため、まずはnoteで月1本程度記事を作っていくことになりました。それをTwitterで拡散したり、応募者へのサンクスメールでリンクを送ったりと、認知度を上げるために地道に発信を続けましたね。

――リニューアルの効果や、コンテンツに対する評価はいかがでしょう?

応募数は増えました。何より一番大きいのは、経験者からの応募が増えたことです。

それまで採用ページに掲載していた内容は、全体的に新卒向けの印象というか。研修のことは書いているのですが「未経験」押しが強く、経験者が見ても響かなかったのでしょう。見せ方を変えたことで、活躍できる人材からの応募が明らかに増えたと感じました。

また、候補者が記事を読んで面接に来てくれることや、そこで志望度が上がったと話してくれることもありました。あるいは、たまたまDCGの名前を知った人が、ホームページを見て興味を持ち、最終的に応募まで至ったことも。そういう話が出てくるようになって、やっぱり間違っていなかったと確信できましたね

以前は直接会って説明しないと伝わらない部分がありましたが、記事を通して間接的に理解してもらえるようになっています。これは狙い通りの効果が得られました。

結論として、取り組んでみて良かったと思っています。新しいことはしっかり仮説を立ててから始めるようにしているので、何かうまくいかなくても「一つ潰せた」「ゴールに一歩近付いた」だけ。広告の見せ方を変えたり、一部に予算を集中投下したりと色々試していますが、それもありきで最終的な成果に結び付いていると考えています。

自社サイトリニューアルの効果
- 経験者からの応募が増えた
- 候補者の行動が変化した
- 会社理解を促進できた

――hypexという第三者の視点が入ったことで、何かメリットはありましたか?

打ち合わせを通じて言葉を引き出してくれたことが良かったと思います。日常的に社内でなんとなく話していたことも、きちんと深掘りして整理することができました。つまり、DCGのカルチャーを作っているのは研修であり、今後も必ず強みになる部分だと。

中途採用で経験者となると、研修を打ち出してもそんなに刺さらないだろうと思っていた時期もあったので、発信の方向性を再認識できたことは一番大きかったです。

あとは単純に、記事を分かりやすく綺麗にまとめてもらえたことも嬉しかったですね。役員からも毎回好評でしたし、その点でも価値を感じました。

コーポレートサイトリニューアル構成
- カルチャー
- 採用広報コンテンツ

候補者と接点を持つためSNS広告も活用、採用戦略の一部に

――ホームページ以外では、SNS広告に取り組んでいますね。実施した理由について教えてください。

SNSをうまく使って採用している企業もあれば、SNSを通じて転職している人も増えている時代ですし、採用のトレンドになっている実感がありました。誰かと接触する、交流を持つという点でSNSの力は大きいですし、一度試さない手はありません。

常々難しく感じていたのは「どこに行けば3DCGデザイナーの人に会えるんだろう?」ということだったんです。さすがにSNSの中でなら出会えるだろうと思い、SNS広告を使ってみることにしました。ただ自分たちでは具体的な方法が分からず、そこはhypexさんにお願いした次第です。

――SNS広告の価値や、付き合い方についてはどう考えていますか?

これも短期間でパパッと結果が出るようなものではないという前提があります。その上で、最善を尽くした結果、仮にSNSで採用は難しいとなった場合でも、その判断のための道筋が見えて数字が集まれば効果はあったと言えます。

分かりやすく応募が増えれば理想ですが、そうでない状態が続いたとしても、しっかり数字を追っていくこと。良い傾向がある限りは続けていくスタンスが大事だと思います。最終的に適切な判断ができれば試した価値がありますし、逆に有効かどうか判断できないまま終わるのが一番もったいないですね。

ゲームプランナーのSNS採用広告
実施内容:バナーとLP(PC・SP)の作成
配信媒体:Facebook広告・Instagram広告・Twitter広告

――採用活動の中で、数字とはどのように向き合っていますか?

例えば、最終的な応募数が1人、2人だったとしても、応募に至るまでのポイントになる数字がいくつかあるわけです。その数字を一つずつ改善していくことで、有効応募につながることは理解できているので、過程の数字を追うことにはすごく意味があると思っています。

その感覚がないと、どうして応募が来ないのか分からなかったり、何かの施策を試しても一見意味がないように思えたり、担当者としてはやめたくなってしまうかもしれません。

僕は何を始めるにしても「中途採用戦略の一部としての施策です」というスタンスです。試したい施策がある場合、別の方法で採用人数を確保できるように計画し、新しい施策では短期的に成果を必ず上げないといけないという状況を避けるようにしています。本当に切羽詰まった状況でのアプローチは、自分自身も苦しいですから。

採用活動に欠かせない3原則と、最初にやるべき仕事とは

――採用活動において重要なことは何でしょうか?

1つ目は、採用したい相手を知ること。2つ目は、自社を知ること。そして3つ目は、誠実な発信を続けること。シンプルですがこの3つが重要だと思っています。

これは広告でアプローチするにしても、面接で直接話すにしても同じです。どのように魅力を感じてもらい、最終的な内定に至るかという過程・心の動きは似ているんですよね。3つのうち、どの要素が欠けていても成立しません。

採用活動に欠かせない3原則
1. 相手を知る
2. 自社を知る
3. 誠実な発信
候補者へ情報を伝える

そして、結局相手は人だということ。数字は見ながらも「人を動かすには?」「どうやったら気持ちが動くんだろう?」と考え抜くことが大切です。

例えば、応募に至る前で一歩踏み出せないようなら、気になる要素を先回りして記事にする。相手の不安を見逃すと絶対に失敗します。そこをしっかり押さえていくための想像力はすごく重要ですね。

――採用担当者に求められる「最初の一歩」はどんなことだと思いますか?

まず最初にやるべきなのは、2〜3年後までのビジョンを描くことです。そうすることで、今の施策を続けるべきか、求人サイトをどう活用したら良いか、SNSやその他新たなアプローチをいつから始めるのかなど、具体的な行動が見えてきます。

先々の見通しがあってこそ、今やるべきことが決まります。逆に言えば、漠然とした思い付きや、仮説に基づかない行動では成功の糧になりません。

加えて、採用担当者にとって重要な仕事はチームビルディングだと思っています。各部署や役員との信頼関係が作れていないと、社内外でうまく連携できませんから。外部に仕事を依頼するにしても、社内外の人を一つのチームとして機能させる力と意識が必要でしょう。

――最後に、DCGの今後の採用活動について考えていることを教えて下さい。

自社発信を通じた採用を強化し、エージェント経由の比率を下げていきたいと考えています。向こう2年で、エージェントとそれ以外のバランスを5:5程度にできればと。そのために、今期からリファラル採用を強化しようと準備しているところです。

それから、専門学校とのつながりをもっと開拓したいですね。というのも、一昨年のインターン参加者が今年新卒で入社してくれて、学校の先生を紹介してもらい、そこで説明会ができるようになった事例があるからです。もちろん新卒だけでなく、OBやOGの人ともつながれると思います。

地道につながりを築いていく活動は、すぐにいい効果が得られなくても、長く丁寧に付き合っていくことでそこから広がる可能性があります。描いているビジョンに向けて、一歩ずつ着実に進んでいきたいですね。

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