内定辞退を防ぐには?内定経験者309名調査でわかった「辞退につながる不安」と対策
2026.09.18
内定を出したあとの辞退を減らしたい。多くの採用担当者が抱えている課題ですが、内定者が実際に何を不安に思い、何を決め手に承諾しているかは、選考中と比べてデータがほとんどありません。
hypexでは、直近3年以内に求職活動を経験した415名に調査を実施しました。本記事では、このうち内定を受けた経験がある309名の回答を分析し、内定辞退につながる不安とつながらない不安を切り分けたうえで、内定者フォローで先に手を打つべき順番を整理します。
この調査について
本調査は雇用形態を問わず、直近3年以内に求職・応募活動を行った方を対象としています。新卒採用に限定した調査でも、正社員採用に限定した調査でもありません。
内定を受けた経験がある309名について、直近3年間で最も多く応募した雇用形態を聞いたところ、内訳は次のとおりでした。
| 直近3年で最も多く応募した雇用形態 | 人数 | 割合 |
|---|---|---|
| 正社員 | 176名 | 57.0% |
| アルバイト・パート | 88名 | 28.5% |
| 派遣社員 | 23名 | 7.4% |
| 業務委託・フリーランス | 10名 | 3.2% |
| 契約社員 | 9名 | 2.9% |
| 複数あり、最も多いものは選べない | 2名 | 0.6% |
| 覚えていない | 1名 | 0.3% |
| 合計 | 309名 | 100% |
正社員採用だけを見た場合にどうなるかは、第5章で別途集計しています。
1. 内定を受けた人の55.3%が、一度は辞退を考えている
まず、内定辞退がどの程度起きているかを確認します。
調査に回答した415名のうち、直近3年以内に内定を受けた経験がある人は309名(74.5%)でした。以降の集計はこの309名を母数とします。
この309名に「内定辞退を考えた、または実際に辞退した理由をすべて選んでください」と聞いたところ、何らかの理由を選んだ人が171名でした。309名に対する割合は55.3%です。残りの138名(44.7%)は「内定辞退や辞退検討の経験はない」と回答しています。
本記事における「辞退を検討した」の定義
上記の設問で何らかの理由を選んだ方を指します。実際に辞退した方と、考えたうえで最終的に承諾した方の両方を含みます。「内定者の半数が辞退した」という意味ではありません。
つまり、内定を受けた人の半数以上が、承諾までのどこかで一度は迷っているということです。
次に、その171名が挙げた理由を見ます。複数回答のため、合計は100%を超えます。割合はいずれも内定経験者309名に対する値です。
| 理由 | 人数 | 309名に対する割合 |
|---|---|---|
| 給与・待遇が希望と合わなかった | 64名 | 20.7% |
| 働き方、勤務時間、勤務地などの条件が合わなかった | 62名 | 20.1% |
| 他社の内定や選考を優先した | 50名 | 16.2% |
| 社風や職場の雰囲気、面接官・社員との相性に不安があった | 49名 | 15.9% |
| 仕事内容や入社後の役割が希望と合わなかった | 34名 | 11.0% |
| 残業、休日、働き方の実態に不安があった | 32名 | 10.4% |
| 応募前に見た情報と選考中・内定後に得た情報に違いを感じた | 25名 | 8.1% |
| 配属先や担当業務に不安があった | 20名 | 6.5% |
| 家庭・学業・現職など自分側の事情で入社が難しくなった | 13名 | 4.2% |
| 内定後の連絡やフォローが十分ではないと感じた | 13名 | 4.2% |
最も多かったのは「給与・待遇が希望と合わなかった」で、309名中64名(20.7%)でした。次いで「働き方、勤務時間、勤務地などの条件が合わなかった」が62名(20.1%)です。上位2つはどちらも条件面です。
一方で「他社の内定や選考を優先した」が50名(16.2%)と3位に入っています。これは自社の情報発信では動かしにくい要因です。逆に言えば、1位と2位の条件面は、伝え方によって動かせる余地があります。
2. 承諾を決めた理由は「条件」だった
辞退の理由を見たので、次は承諾の理由を見ます。
内定経験者309名に「内定承諾を前向きに考えた、または実際に承諾した理由をすべて選んでください」と聞きました。こちらも複数回答で、割合は309名に対する値です。
| 承諾の理由 | 人数 | 309名に対する割合 |
|---|---|---|
| 働き方、勤務時間、勤務地などの条件が合っていた | 175名 | 56.6% |
| 仕事内容や入社後の役割が希望に合っていた | 153名 | 49.5% |
| 給与・待遇が希望に近かった | 132名 | 42.7% |
| 自分の経験やスキルを活かせそうだと思った | 89名 | 28.8% |
| 面接官や社員の印象、社風や職場の雰囲気が合いそうだと感じた | 62名 | 20.1% |
| 他社と比較して魅力があった | 36名 | 11.7% |
| 企業や事業の将来性を感じた | 33名 | 10.7% |
| 不安や疑問に丁寧に答えてもらえた | 33名 | 10.7% |
| 成長機会やキャリアパスに期待できた | 23名 | 7.4% |
| 配属先や担当業務の説明に納得できた | 20名 | 6.5% |
| 内定後のフォローや連絡が安心できた | 17名 | 5.5% |
上位3つは働き方(175名・56.6%)、仕事内容(153名・49.5%)、給与(132名・42.7%)で、いずれも条件面です。
対して「面接官や社員の印象、社風や職場の雰囲気が合いそうだと感じた」は62名(20.1%)で5位にとどまります。人の印象は、承諾の決め手としては条件面の半分以下という結果でした。
「内定後のフォローや連絡が安心できた」に至っては17名(5.5%)です。内定者フォローそのものが承諾の決め手になったと答えた人は、20人に1人程度でした。
3. しかし不安に感じたのは「人と環境」だった
承諾の決め手は条件面でしたが、承諾を判断する過程で何に不安を感じたかを聞くと、順位が入れ替わります。
内定経験者309名に「内定前後に、承諾を判断するうえで不安に感じたことをすべて選んでください」と聞きました。複数回答で、割合は309名に対する値です。
| 不安の内容 | 人数 | 309名に対する割合 |
|---|---|---|
| 上司や同僚とうまく働けるか | 128名 | 41.4% |
| 長く働けそうか | 120名 | 38.8% |
| 社風や職場の雰囲気が自分に合うか | 103名 | 33.3% |
| 勤務時間、残業、休日などの働き方が合うか | 82名 | 26.5% |
| 入社後の仕事内容が具体的に想像できるか | 73名 | 23.6% |
| 配属先や担当業務が希望に合うか | 59名 | 19.1% |
| 給与・待遇に納得できるか | 59名 | 19.1% |
| 他社と比較して本当にこの会社でよいか | 53名 | 17.2% |
| 特に不安はなかった | 36名 | 11.7% |
| 成長できそうか | 30名 | 9.7% |
| 評価制度や昇給・昇格の仕組みに納得できるか | 29名 | 9.4% |
最も多かったのは「上司や同僚とうまく働けるか」で128名(41.4%)。2位が「長く働けそうか」120名(38.8%)、3位が「社風や職場の雰囲気が自分に合うか」103名(33.3%)でした。上位3つはすべて人と環境に関するものです。
一方、承諾の決め手で3位だった給与は、不安としては59名(19.1%)で7位にとどまります。承諾理由では132名(42.7%)が挙げていたのに対し、不安として挙げた人は半分以下でした。
条件は「決め手」にはなるが「不安の種」にはなりにくい。人と環境はその逆という構造です。

理由は説明がつきます。給与や勤務時間は求人票や内定通知書に書かれており、候補者は数字で確認できます。一方、上司との相性や職場の空気は、書面では確認しようがありません。だから不安として残ります。
ここから導ける対策は「内定者に現場の人と会わせる」でしょう。実際それは有効な打ち手です。ただし、辞退を防ぐという目的に限って言えば、優先順位は変わります。
4. 不安の種類によって、辞退の起きやすさは大きく違う
ここからが本記事の中心です。
図3で挙げられた不安の項目ごとに、その不安を挙げた人のうち何%が辞退を検討したかを集計しました。あわせて、その不安を挙げなかった人の辞退検討率も並べています。
内定経験者309名全体の辞退検討率は55.3%(309名中171名)です。これを基準に読んでください。
| 不安として挙げた項目 | 挙げた人 | そのうち辞退を検討 | 挙げなかった人 | そのうち辞退を検討 | 差 |
|---|---|---|---|---|---|
| 他社と比較して本当にこの会社でよいか | 53名 | 43名・81.1% | 256名 | 128名・50.0% | +31.1pt |
| 給与・待遇に納得できるか | 59名 | 47名・79.7% | 250名 | 124名・49.6% | +30.1pt |
| 勤務時間、残業、休日などの働き方が合うか | 82名 | 61名・74.4% | 227名 | 110名・48.5% | +25.9pt |
| 配属先や担当業務が希望に合うか | 59名 | 36名・61.0% | 250名 | 135名・54.0% | +7.0pt |
| 入社後の仕事内容が具体的に想像できるか | 73名 | 44名・60.3% | 236名 | 127名・53.8% | +6.5pt |
| 長く働けそうか | 120名 | 70名・58.3% | 189名 | 101名・53.4% | +4.9pt |
| 社風や職場の雰囲気が自分に合うか | 103名 | 57名・55.3% | 206名 | 114名・55.3% | ±0.0pt |
| 上司や同僚とうまく働けるか | 128名 | 65名・50.8% | 181名 | 106名・58.6% | −7.8pt |
| (参考)特に不安はなかった | 36名 | 8名・22.2% | 273名 | 163名・59.7% | −37.5pt |

読み取れることが3つあります。
第一に、条件面の不安は辞退と強く連動します。「給与・待遇に納得できるか」を挙げた59名のうち、辞退を検討したのは47名で79.7%。挙げなかった250名では124名・49.6%ですから、30.1ポイントの差があります。「勤務時間、残業、休日などの働き方が合うか」も同様で、挙げた82名のうち61名・74.4%が辞退を検討しており、挙げなかった層(48.5%)との差は25.9ポイントでした。
最も高かったのは「他社と比較して本当にこの会社でよいか」で、挙げた53名のうち43名・81.1%が辞退を検討しています。これは他社比較が進んでいる状態そのものなので、当然とも言えます。
第二に、人と環境の不安は、辞退とほとんど連動しません。「社風や職場の雰囲気が自分に合うか」を挙げた103名の辞退検討率は55.3%(57名)、挙げなかった206名も55.3%(114名)で、差はゼロでした。
さらに「上司や同僚とうまく働けるか」に至っては、挙げた128名が50.8%(65名)、挙げなかった181名が58.6%(106名)で、挙げた人のほうが7.8ポイント低いという結果です。最も多くの人が抱えている不安が、最も辞退につながっていませんでした。
第三に、不安がないこと自体には効果があります。「特に不安はなかった」と答えた36名の辞退検討率は22.2%(8名)で、全体平均55.3%を33.1ポイント下回ります。
以上をまとめると、こうなります。
- 人と環境の不安は、広く存在するが、それ自体では辞退に直結しない。多くの候補者が「入ってみないと分からない」と折り合いをつけて承諾しています
- 条件への不安は、抱える人こそ少ないが、抱えた時点で7割から8割が辞退を検討している。折り合いをつけられる性質のものではありません
注意点
ここで示したのは、不安の有無と辞退検討の相関です。フォロー施策の効果を測定したものではありません。「人間関係の不安をつぶしても辞退は減らない」とまでは言えず、「人間関係の不安は、辞退が起きるかどうかの目印にはならない」というのがデータから言えることです。
5. 正社員採用だけで見ても、順位は変わらない
「アルバイトや派遣を含むデータではないか」という疑問に答えるため、直近3年で最も多く応募した雇用形態が「正社員」だった176名に絞って同じ集計をしました。
まず、この176名のうち辞退を検討したのは125名で、71.0%でした。内定経験者全体の55.3%より15.7ポイント高い数字です。正社員採用のほうが、辞退の検討は起きやすいという結果になりました。
| 不安として挙げた項目 | 挙げた人 | そのうち辞退を検討 | 参考:全体309名での値 |
|---|---|---|---|
| 勤務時間、残業、休日などの働き方が合うか | 51名 | 43名・84.3% | 74.4% |
| 給与・待遇に納得できるか | 46名 | 38名・82.6% | 79.7% |
| 長く働けそうか | 71名 | 55名・77.5% | 58.3% |
| 社風や職場の雰囲気が自分に合うか | 61名 | 46名・75.4% | 55.3% |
| 入社後の仕事内容が具体的に想像できるか | 39名 | 29名・74.4% | 60.3% |
| 上司や同僚とうまく働けるか | 75名 | 49名・65.3% | 50.8% |
| (正社員志望者 全体) | 176名 | 125名・71.0% | 55.3% |
条件面が上位、人と環境が下位という順位は変わりません。働き方が84.3%(51名中43名)で1位、給与が82.6%(46名中38名)で2位、上司や同僚が65.3%(75名中49名)で最下位です。
ただし、項目間の差は縮みます。全体309名では、給与79.7%と上司・同僚50.8%のあいだに28.9ポイントの開きがありました。正社員志望者176名では、82.6%と65.3%で17.3ポイントです。
正社員採用では、人と環境の不安も辞退につながりやすくなると読むのが正確です。人と環境の不安を軽視してよいという話ではありません。
6. 辞退と最も強く結びついていたのは「応募前情報とのズレ」
不安の内容より強く辞退と結びついていた要因が、もうひとつあります。応募前に見た情報と、選考中・内定前後に得た情報とのズレです。
この「情報のズレ」は、内定段階に限った話ではありません。同じ調査対象者に選考途中の辞退について聞いた別記事(選考辞退の理由は「条件」だけではない。情報ギャップで72%が辞退する実態と対策)では、ズレをネガティブに受け止めた層の選考辞退率が72.6%、受け止めに変化がなかった層が15.2%でした。選考中に起きていたことが、内定後にも同じ形で起きています。
内定経験者309名に「応募前に見た企業情報と、選考中・内定前後に得た情報との違いや印象の変化は、意思決定にどのように影響しましたか」と聞き、その回答別に辞退検討率を集計しました。この設問は単一回答なので、各グループの人数を足すと309名になります。
| 応募前情報とのズレをどう受け止めたか | 該当者 | そのうち辞退を検討 |
|---|---|---|
| 内定辞退を考えるきっかけになった | 10名 | 10名・100.0% |
| 選考辞退を考えるきっかけになった | 19名 | 18名・94.7% |
| 判断に迷うきっかけになった | 62名 | 51名・82.3% |
| 覚えていない | 5名 | 3名・60.0% |
| 想像とは違う点があったが、意思決定には大きく影響しなかった | 64名 | 34名・53.1% |
| 良い方向に印象が変わり、選考継続や内定承諾を前向きに考えた | 61名 | 32名・52.5% |
| 特に違いや印象の変化はなかった | 83名 | 22名・26.5% |
| 応募前の情報をあまり見ていない | 5名 | 1名・20.0% |

ズレが「判断に迷うきっかけになった」62名のうち、辞退を検討したのは51名で82.3%。一方、「特に違いや印象の変化はなかった」83名では22名・26.5%にとどまります。その差は55.8ポイントで、本記事で見た中で最大です。
なお「内定辞退を考えるきっかけになった」10名と「選考辞退を考えるきっかけになった」19名は該当者が少ないため、参考値として扱ってください。
注目すべきは、「良い方向に印象が変わり、前向きに考えた」61名でも、32名・52.5%が辞退を検討している点です。「特に違いや印象の変化はなかった」83名の26.5%と比べると、ほぼ2倍にあたります。
ズレの方向が良いか悪いかにかかわらず、応募前の情報と実物が違うこと自体が、意思決定を揺らがせています。
採用の分野には、良い面だけでなく大変な面も含めて事前に開示する考え方を指すRJP(Realistic Job Preview/現実的な仕事情報の事前開示)という概念があります。RJPの実証研究が主に扱ってきたのは入社後の定着への効果ですが、本調査の結果は、その手前の内定承諾の段階でも同じ方向の関係が見られることを示しています。
正社員志望者176名に絞った場合も同じ傾向でした。「判断に迷うきっかけになった」44名のうち38名・86.4%、「特に違いや印象の変化はなかった」31名のうち18名・58.1%が辞退を検討しており、差は28.3ポイントです。全体309名での55.8ポイント差より縮みますが、方向は変わりません。
なお、内定辞退を考えた理由を直接聞いた図1でも、「応募前に見た情報と選考中・内定後に得た情報に違いを感じた」を選んだ人は309名中25名(8.1%)いました。自覚して答えられた人だけでこの数字です。
7. 候補者は何を見て判断しているか
では、その「ズレ」はどこで生まれているのか。候補者が何を見て判断しているかを押さえます。
この設問は調査対象者全員に聞いているため、母数は415名です。前章までの309名とは分母が異なる点にご注意ください。
| 情報源 | 人数 | 415名に対する割合 |
|---|---|---|
| 求人票 | 205名 | 49.4% |
| 企業の採用サイト・採用ページ | 204名 | 49.2% |
| 口コミサイト | 148名 | 35.7% |
| 面接での説明 | 143名 | 34.5% |
| 企業のコーポレートサイト | 89名 | 21.4% |
| 家族・友人・知人への相談 | 69名 | 16.6% |
| 企業のSNS・採用SNS・公式SNS | 64名 | 15.4% |
| カジュアル面談・社員面談での説明 | 44名 | 10.6% |
| キャリアアドバイザー・エージェントへの相談 | 43名 | 10.4% |
| 内定通知書や条件通知書 | 38名 | 9.2% |
| AI検索・生成AIでの質問 | 31名 | 7.5% |
求人票が205名(49.4%)、採用サイトが204名(49.2%)でほぼ同率の1位・2位です。一方、内定通知書や条件通知書は38名(9.2%)にとどまりました。
内定を出したあとも、候補者は応募前に見ていた情報源に戻って判断しているということです。採用サイトは応募を集めるための媒体と見なされがちですが、内定承諾の判断材料としても使われています。
あわせて、企業からの連絡についても聞いています。こちらも母数は415名です。
「企業からの連絡スピードや連絡内容は、選考継続意欲に影響しましたか」という設問に対し、「良い影響が大きかった」58名(14.0%)と「やや良い影響があった」138名(33.3%)を合わせて196名・47.2%が良い影響を挙げました。一方、「不安につながる影響が大きかった」19名(4.6%)と「やや不安につながった」47名(11.3%)を合わせて66名・15.9%が不安につながったと回答しています。
8. 内定辞退を防ぐための3つの対策
ここまでのデータから、対策を3つに整理します。
① 条件への不安は、内定を出す前に潰しきる
給与への不安を挙げた59名の79.7%(47名)、働き方への不安を挙げた82名の74.4%(61名)が辞退を検討しています。条件への不安は、抱えた時点で辞退リスクが跳ね上がります。ここは懇親会や面談の雰囲気では解消しません。
- 内定通知の時点で、給与の内訳(基本給、固定残業代の有無と時間数、賞与の実績値)を書面で明示する
- 残業の実態を、繁忙期と通常期に分けて数字で示す
- 内定通知書を参照している人は415名中38名(9.2%)にとどまるため、書面を渡すだけで終わらせず、条件を提示して説明する場(オファー面談)を承諾期限の前に設定する
「聞かれたら答える」では間に合いません。図1のとおり、内定辞退を考えた理由の1位は「給与・待遇が希望と合わなかった」で309名中64名(20.7%)でした。
② 人と環境の不安は、伝える相手を変えて対応する
「上司や同僚とうまく働けるか」は309名中128名(41.4%)、「長く働けそうか」は120名(38.8%)が挙げた、最も多い不安です。ただし辞退への直結度は低く、上司や同僚の不安を挙げた128名の辞退検討率は50.8%(65名)で、全体平均55.3%を下回りました。
とはいえ放置してよいわけではありません。正社員志望者176名に絞ると、この項目でも65.3%(75名中49名)が辞退を検討しており、決して低くありません。また、入社後の定着に影響することは別の調査で確認しています。
別調査(入社後ギャップ調査)では、直近3年以内に入社した若手266名に「入社前に知りたかった情報は、誰から伝えられると最も納得しやすいか」を聞いています。回答は現場社員が95名(35.7%)、若手社員が49名(18.4%)で合計144名(54.1%)。これに対し採用担当者は44名(16.5%)でした。
人と環境の話は、人事からではなく現場から伝わったときに納得されます。配属予定の上司や、年次の近い社員との面談を内定承諾前に設定するのが有効です。
③ 応募前の情報と、選考中の説明を一致させる
本記事で最大の差(82.3%対26.5%、55.8ポイント)が出た項目です。優先度は高いと判断できます。
- 採用サイトと求人票の記載を突き合わせ、条件面の食い違いを洗い出す
- 面接で説明する仕事内容が、応募前に出している情報と矛盾していないか確認する
- 良く見せる方向のズレも辞退につながるため、課題や大変な点を先に出しておく
別調査(採用サイト調査)では、直近3年以内に求職活動を経験した421名に、採用サイトに会社の良い面だけでなく仕事の大変な点や課題も掲載されていた場合に応募意欲がどう変わるかを聞いています。「高まる」45名(10.7%)と「やや高まる」225名(53.4%)を合わせて270名・64.1%が応募意欲が高まると回答しました。先に出すことのコストは、思われているより小さいと考えられます。
まとめ
本調査でわかったことを、数字の意味とあわせて整理します。
内定を受けた人の半数以上が、一度は辞退を考えています。直近3年以内に内定を受けた経験がある309名のうち、内定辞退を考えたか実際に辞退した人は171名で55.3%でした。実際に辞退した人だけの数字ではなく、考えたうえで承諾した人を含みます。
承諾を決めているのは条件面です。309名のうち、承諾の理由として「働き方・勤務時間・勤務地などの条件が合っていた」を挙げたのは175名(56.6%)、「仕事内容や入社後の役割が希望に合っていた」が153名(49.5%)、「給与・待遇が希望に近かった」が132名(42.7%)でした。一方「面接官や社員の印象、社風や職場の雰囲気」は62名(20.1%)にとどまります。
ところが不安に感じるのは人と環境です。同じ309名のうち、承諾を判断するうえでの不安として「上司や同僚とうまく働けるか」を挙げたのは128名(41.4%)で最多でした。給与への不安を挙げたのは59名(19.1%)で、承諾理由として給与を挙げた132名の半分以下です。
そして、辞退につながるのは少数派である条件面の不安のほうでした。給与への不安を挙げた59名のうち47名(79.7%)、働き方への不安を挙げた82名のうち61名(74.4%)が辞退を検討しています。なお全項目で最も辞退検討率が高かったのは「他社と比較して本当にこの会社でよいか」で、挙げた53名のうち43名(81.1%)でしたが、これは他社比較が進んでいる状態そのものを表す項目です。内定経験者全体の55.3%を大きく上回る水準です。対照的に、社風への不安を挙げた103名の辞退検討率は55.3%で、挙げなかった206名の55.3%と完全に同じでした。上司や同僚への不安を挙げた128名は50.8%で、挙げなかった181名の58.6%を下回っています。
正社員採用に限っても、順位は変わりません。直近3年で最も多く応募した雇用形態が正社員だった176名では、働き方への不安を挙げた51名の84.3%、給与への不安を挙げた46名の82.6%、上司や同僚への不安を挙げた75名の65.3%が辞退を検討していました。ただしこの176名全体の辞退検討率は71.0%と全体より15.7ポイント高く、項目間の差も28.9ポイントから17.3ポイントに縮まります。
最も大きな差が出たのは、応募前情報とのズレでした。ズレが「判断に迷うきっかけになった」62名のうち51名(82.3%)が辞退を検討したのに対し、「特に違いや印象の変化はなかった」83名では22名(26.5%)にとどまります。差は55.8ポイントです。しかも「良い方向に印象が変わった」61名でも32名(52.5%)が辞退を検討しており、ズレの方向を問わず意思決定を揺らがせていることがわかります。
内定者フォローの設計では、多くの人が抱えている不安と、辞退につながる不安を分けて考える必要があります。前者には現場社員との接点を、後者には書面と口頭での具体的な条件説明を。順序を間違えると、手厚くフォローしたのに辞退された、という結果になります。
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調査概要
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 調査名 | 選考中〜内定に関するアンケート |
| 調査対象 | 直近3年以内に就職活動・転職活動・アルバイト/パート応募・派遣/契約社員応募のいずれかを経験した方 |
| 有効回答数 | 415名(うち内定を受けた経験がある309名を本記事の主な分析対象) |
| 調査期間 | 2026年8月19日〜20日 |
| 調査方法 | インターネット調査 |
| 調査主体 | 株式会社hypex |
※本調査は雇用形態を問わず、直近3年以内に求職・応募活動を行った方を対象としています。内定経験者309名が直近3年で最も多く応募した雇用形態の内訳は、正社員176名(57.0%)、アルバイト・パート88名(28.5%)、派遣社員23名(7.4%)、業務委託・フリーランス10名(3.2%)、契約社員9名(2.9%)、その他3名(0.9%)です。正社員志望者に絞った集計は第5章と第6章に併記しています。
※回答者はクラウドソーシングサービス経由で募集しています。直近3年以内の求職行動として「就職活動」を挙げた方は415名中61名(14.7%)で、新卒就職活動の経験者は少数です。
※構成比は小数点第2位以下を四捨五入しているため、合計が100%にならない場合があります。複数回答の設問では合計が100%を超えます。
※本記事の「辞退を検討した」は、設問「内定辞退を考えた、または実際に辞退した理由をすべて選んでください」で何らかの理由を選んだ方を指し、実際に辞退した方と、考えたうえで承諾した方の両方を含みます。
※第4章・第5章・第6章で示した数値は、不安の有無や情報のズレと辞退検討の相関を示すものであり、フォロー施策の効果を測定したものではありません。
採用の見え方を、変えにいく。
