採用計画とは?立て方やポイントを解説
2024.01.30
企業の採用担当者が最初にやる仕事は「採用計画」を立てることです。『就職白書2023』によると、採用計画を達成できている企業は4割程度。それほど難易度が高い仕事。この記事では採用担当者に向けて下記の項目を解説します。
適切な採用計画を立てるために、最後までご覧ください。
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採用計画とは
採用人数の目標とスケジュール
採用計画とは「どの部署で、何人を、いつまでに採用するのかを決めること」です。「人数」と「期日」の目標を決めます。主に1年間で採用する人数、何月までに何人必要なのかなど、上の画像のように採用計画表を作成します。Where(どの部署で)、Who(どんな人を)、How much(何人)、When(いつまでに)を決めると覚えてください。単純に人数やスケジュールを決める場合もあれば、どんなスキルを持った人が必要なのかをざっくり決める場合もあります。
採用計画は企業によって定義が大きく異なり、どの媒体に出稿するのか、どんな採用コンテンツ(採用サイトやSNS)を作るのかなど、具体的な採用方法まで決めることを「採用計画」と呼ぶ企業もあります。いわゆる「how(どのように)」の部分まで決めることです。
ただし、採用手法まで具体的に決めると数ヶ月に及ぶ作業になり、気をつけるべきポイントも異なるため、当サイトhypexでは採用手法は含めません。あくまで採用計画=採用予定数+採用スケジュールと定義しています。
関連記事:採用人数の決め方を解説。従業員の規模別データや重要性も紹介
関連記事:採用サイトのコンテンツ12種類とチェックリストを紹介
採用計画が重要な理由
採用計画が重要な理由は、余計な採用コストが増え、採用が長期化してしまうリスクがあるからです。明確なスケジュールを切らないと、どの採用手法を使うのか、どんな人物を採用するのかなど、その後の採用活動の指針がブレてしまい、企業が求める人物からの応募も減ってしまいます。いつまでに何人を採用するか明確であるからこそ、どの採用手法でやるべきか決まり、採用活動の途中で進捗確認や軌道修正なども行えます。結果的にコストや時間も効率よく採用できることになります。
採用計画のテンプレート
項目 | 内容 |
採用の対象者 | 25年の新卒大学生および専門学校生 |
採用人数 | 10名まで |
大学 | 4年生大学、短期大学、専門学校 |
学部 | 文系、理系を問わない |
募集方法 | 採用サイト、および採用SNSアカウントからの応募フォーム |
提出書類 | エントリーシート、履歴書 |
選考方法 | 書類選考、筆記試験、一次面接、2次面接、最終面接 |
採用基準 | 全国各所への配属が可能、事業や役割の変更に柔軟に対処できる者 |
採用年月日 | 2025年2月1日に採用の合否を連絡 |
採用経費 | 年間500万円 |
上記の項目が新卒の採用計画のテンプレートの一例です。前述したように採用計画の定義は企業によって異なります。上の表はかなり多いほうです。
採用戦略との違い
採用戦略とは、採用計画(採用人数の目標とスケジュール)を決めたあと、その目標をどんな採用方法で達成するのかの「戦略」を決めることです。具体的には求人広告の媒体(マイナビ、indeed、リクルートなど)、採用サイトを作るのか、SNS採用を行うのかなどです。
この記事では、適切な採用計画(採用人数の目標とスケジュール)を決めることをゴールにしましょう。
採用方針、人員計画との違い
採用計画に似た用語に「採用方針」「人員計画」もあります。
採用方針とは「採用人数、スケジュール、採用方法まで決めること」。採用計画+採用戦略を指します。「採用方針を決めよう」となれば、目標設計から具体的な手法・改善方法まで決めるので数ヶ月かかる作業になります。
人事計画とは「事業目標を達成するために目標を達成するために必要な人数、どんなスキルを持った人が必要なのかを決めること」なので、採用計画と同じ意味になります。
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近年の採用計画の状況(就職白書)
画像引用:就職みらい研究所『就職白書2023』
続いては、株式会社リクルートが発表している就職みらい研究所『就職白書2023』のデータをもとに企業の採用計画の状況を見ていきましょう。「他の企業のデータは必要ないよ」と思うかもしれませんが、採用市場の現場や、そのデータになっている要因を知ることは自社の採用計画を立てるときの参考になります。
採用計画に対して「充足」は4割程度
「採用予定数を充足できた」と回答している企業は全体の40.4%と厳しい結果。2022年卒の数値に比べても減少しています。特に従業員数5000人以上の大企業の充足度が下がっています。この結果から、採用の難易度が上がっていることがわかります。当サイトhypexの調査でも下記のような傾向が見られました。
- 採用ブランディングの費用は前年比200%以上
- 大手もSNSの活用が重要になっている
- 職種特化の採用ページ(部門別の採用サイト)が主要
- 会社の代表が先導する採用活動が必要
参考までに下記の記事もご覧ください。
関連記事:採用ブランディングとは?方法やメリット、成功事例、費用相場を解説
関連記事:SNS採用とは?活用方法、メリット、成功事例、注意点を解説
関連記事:採用サイトの効果とは?メリットや必要性、運用方法を解説
採用計画より少ない原因「内定辞退が多い」「選考応募者が少ない」
採用予定数を下回る要因としては、「内定辞退が予定より多かった」が52.7%、「選考応募者が予定より少なかった」が51.7% の順で高いです。このデータからも、応募人数は「減る」、内定辞退人数は「増える」と厳しい見通しであることがわかります。
内定辞退が出る主な原因は「年収や休日の日数などの条件」で断られるケースがほとんど。条件面以外の魅力を伝える必要があります。企業の内定辞退の割合の相場は50%。それより多い場合は改善が最優先です。不人気の業種であれば内定辞退率は70%前後です。採用マーケティング会社の調査によると、内定辞退した採用候補者が企業に望む内定後のフォロー上位5つは下記です。
- 社員との交流:71.5%
- 他の内定者との交流:48%
- 人事担当者との面談:46.9%
- 社内や関連施設の見学:33.7%
- 電話やメールなどの定期連絡:23.4%
選考応募者が少ないということは母集団形成が上手くいっていない証。求人媒体に応募しても他社と比較されて負けてしまっている、そもそも求職者のいる場所に採用情報を発信していないなどがあり、採用マーケティングの知見が重要となります。
関連記事:採用マーケティングとは?メリットや戦略、成功事例を解説!
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採用計画の立て方
上の画像の採用計画表をもとに、採用計画(どの部署で、何人を、いつまでに採用するのか)の立て方を説明します。今回は下記の事業の会社があると仮定します。
Webサイトから問い合わせがある→営業マンが商談→成約したら売上が発生
この場合、Webサイトを作る「エンジニア」、Webサイトから集客する「マーケター」、問い合わせしたお客様と商談をする「営業マン」の3つの部署があります。
事業目標から課題を洗い出す
採用計画の立て方を一言で表すと「事業目標から逆算する」です。まずは、事業目標から課題を洗い出してみましょう。
仮に来年4月に月間売上1000万円を達成することが事業目標だとします。そのために現在、不足している部分や必要な人数を部署ごとに算出します
- 営業部署:月間の売上を今より500万円増やす必要がある
- マーケティング部門:Webサイトの問い合わせを月100件増やす必要がある
- エンジニア部門:サイトの規模を2倍にする必要がある
採用目標人数を決める
事業目標から課題を洗い出したら、その課題を埋める(目標を達成する)ために必要な採用人数を出します。「どの部署で、何人を採用するのか」を決めましょう。
例えば営業部署の場合、「月間の売上を今より500万円増やす」ために、「月100万円を作れる営業マンをあと5人採用する」など、採用目標の人数が設定できます。仮に他の営業マンの売上の平均が月200万円なら「あと2.5人(3人)採用する」という採用人数の目標になるでしょう。
もちろん、事業目標=売上とは限りません。利益ベースで考える場合もあります。その場合は人件費を算出しましょう。月に100万円の売上を作れる営業マン1人当たりの給料が30万円としたら利益は単純計算で70万円になります。利益ベースで考えたとき、「月に100万円の売上を作れる営業マン」がもっと必要かもしれません。このように、企業の目標となる数字から逆算して採用人数を決めていきます。
細かいペルソナは決めなくていい
採用計画を立てるときは、どんな人が欲しいのか、年齢や過去の経歴、具体的な資格(スキル)、会社にフィットしそうな性格などの細かい部分は決めなくて良いです。「月の売上〇〇円を達成できる人」などざっくりで大丈夫です。細かい採用ペルソナは採用計画の次のステップで決めます。
採用のスケジュールを決める
採用目標の人数が決まったら「いつまでに採用するのか」を決めます。「来年の4月に月100万円を作れる営業マンをあと5人採用する」と決めたとしても、3月に採用してすぐに4月に売上100万円を作れるとは限りません。例えば企業の社内研修が3ヶ月あるなら、少なくとも1月には5人が入社している必要があります。事業目標の達成に必要な期限から逆算、逆算を繰り返して、採用計画を作っていきます。
採用予算は考えない
企業によって採用にかけられる予算は存在しますが、採用計画を立てる段階では一旦、採用予算は考えなくて大丈夫です。予算内に収めることは、どんな採用方法を選択するかの「how」の部分で調整できます。
そもそも採用予算は、「採用人数」「事業状況」「事業目標」の3つの観点を合わせて考えるもの。事業目標を達成するのに必要な人数やスケジュールがわかっているのに、予算オーバーしそうだからと、目標を変えては本末転倒です。場合によっては採用予算をオーバーしても投資する必要があるかもしれません。一旦、採用予算は度外視して、事業目標を達成するために必要な採用計画を立てましょう。
関連記事:採用コスト(採用単価)とは?削減する方法や成功事例を解説
※ここまで読んで採用計画を達成するための採用支援をお探しの方はhypexにご相談ください。予算や課題などをオンラインでヒアリングし、最適な提案をさせていただきます。相談料は一切かかりません。
採用計画を立てるときのポイント
- 新卒と中途の採用計画の違いを把握する
- 内定辞退社や早期退職者のことも考慮する
- 過去の採用計画の課題を出す
続いては、採用計画を立てるときに意識するポイントを3つ紹介します。
新卒と中途の採用計画の違いを把握する
新卒採用と中途採用の場合、採用計画が少し異なります。必要な人数を決める際に事業目標から逆算する方法は新卒も中途も同じです。採用スケジュールに関しても新卒は4月入社が多く、中途採用は転職者の事情によって異なるので、特に注意点はありません。
ただし、新卒は即戦力ではなく育成目的で採用するケースがほとんど。事業計画から逆算した場合、すぐに売り上げになるわけではなく投資目的になります。実力や伸び率も未知数なので、新入社員によって売り上げもバラバラになるでしょう。
中途採用は基本的に即戦力を求めて採用しますが、必ずしもすぐに売上を作れるわけではありません。数ヶ月かかっても、ゆくゆくは自社の大きな存在になる人もいるので、その点を考慮に入れて採用計画を作りましょう。
内定辞退社や早期退職者のことも考慮する
採用計画で目標人数を決める場合、事業目標を達成するための必要最低限の人数に設定することが多いです。営業であれば目標達成の最低限数より多めに採用する場合もありますが、他の部署で多めに採用することは珍しいです。
ただし、採用しても既存社員や新人に退職者が出れば、再び採用しないといけません。採用計画を立てる際、ただ採ればいいわけではなく、その後のことも考慮に入れておくと良いです。
過去の採用計画の課題を出す
過去に採用計画を作ったことのある企業であれば、その際の課題を洗い出しましょう。採用計画は達成できたのか、どれくらい届かなかったのか。その要因は何か?を参考にすることで、適切な採用計画が作りやすくなります。
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採用計画を達成するために必要なこと
- 採用ペルソナ
- 採用戦略
- 採用手法(戦術)
- 採用プロセスの改善
最後に、採用計画を立てたあと、採用目標を達成するために必要な要素を4つに分けて解説します。
採用ペルソナ
採用計画が決まった次にやることが採用ペルソナ(求める人物像)を明確にすることです。人物像は職種や年齢、これまでの仕事ぶり、今後の仕事のスタンスなどを決めてください。さらに、どんなスキルを持っているか、カルチャー面で会社にフィットしそうな性格など。採用のペルソナを決めることで、どの採用手法にするのか、どんなキャッチフレーズを用いるのかなどが決まります。hypexがエンジニアの中途採用のときに決めた採用ペルソナは下記です。
求める人物像の項目 | 内容 |
ターゲット | 能力、経験が豊富な即戦力のエンジニア |
職種 | 土木、建築、電気、環境エンジニアの経験者 |
年齢 | シニア層(55〜70歳) |
これまでの仕事 | 仕事一筋でやってきたような人 |
今後の仕事のスタンス | これからの生活を含めた働き方に興味がある |
関連記事:採用ペルソナとは?採用ターゲットとの違いや作り方を解説
採用戦略
採用したいターゲットのペルソナが決まれば、実際にどんな手法を使って、どんな訴求をすれば応募してくれるのかの戦略を考えます。採用戦略が失敗すれば、設定した採用ペルソナが全然いない場所に求人情報を発信したり、採用候補者が求めていることと全然違った訴求をしてしまいます。企業の4Pや3C分析、SWOT分析など徹底した採用調査が必要となります。詳しくは下記の記事で解説しています。
関連記事:採用戦略とは?戦略の立て方、成功事例、フレームワークを紹介
採用手法(戦術)
採用戦略は方向性がメインであり、より具体的にどの採用手法でどのように採用していくのか細かい部分まで決めます。上の画像は人事やエンジニアを採用するために求人媒体からスカウトメールを送って採用すると決めたので、具体的なスカウトメールの送信数や返信数や応募数などを設定したもの。具体的な行動目標や数字まで細かく設定したものが採用戦術です。
採用プロセス(採用フロー)の改善
採用戦術まで決めて実行に移したあとは、効果計測をし、改善を繰り返す必要があります。下記の各採用プロセスのKPI(重要指標)を改善していきます。
- 応募率
- 書類選考通過率
- 面談設定率
- 面談通過率
- 内定承諾率
これらの数値が低ければ採用計画は達成できません。詳しくは下記の記事で解説していますので、あわせてご覧ください。
関連記事:採用プロセス(採用フロー)とは?作り方や重要性、改善方法を解説
採用計画まとめ
最後までご覧いただき、ありがとうございます。採用計画について解説しました。要点をまとめると下記になります。
◎採用計画とは
「どの部署で、何人を、いつまでに採用するのかを決めること」。目標の「人数」と「期日」を決める。採用計画は企業によって定義が異なり、どの媒体に出稿するのか、どんな採用コンテンツ(採用サイトやSNS)を作るのかなど、具体的な採用方法まで決めることを「採用計画」と呼ぶ企業もある。
◎採用計画の立て方
- 事業目標から逆算して課題を出す
- 採用目標人数を決める
- 細かいペルソナは決めない
- 採用のスケジュールを決める
- 採用予算は考えない
採用は長い道のり。本記事を参考に、適切な採用計画を立ててください。採用目標を達成するのは自社だけでは難しいので相談したい、採用を支援して欲しいと考えている方はhypexにご相談ください。オンラインでヒアリングし、最適なアドバイスをさせていただきます。相談料などは一切かかりません。
成長企業における採用ブランディング・採用マーケティングを専門とし過去2年で50社以上を直接支援。前職では、月間150万利用者数を超える医療・美容のWebサービスの事業責任者、兼経営陣として組織の成長を牽引。成長組織におけるOKRを利用した評価制度の構築や外国人、ジェネレーション、女性、LGBTQ+などのダイバーシティ・マネジメントに尽力。