採用ブランディングとは?方法やメリット、成功事例、費用相場を解説
2024.05.17
現在、採用ブランディングに取り組む企業が増えています。しかし、聞き慣れない「採用ブランディング」の定義も分からず、何から始めれば良いのか迷っている方も多いでしょう。この記事では初めて採用ブランディングに取り組む方に、以下の項目を解説します。
自社で採用ブランディングに取り組むべきかが? 取り組む場合の手順も分かりますので、最後までご覧ください。
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採用ブランディングとは?採用広報との違い
企業を好きになって入社してもらうこと
採用ブランディングとは、採用媒体や採用ツールを活用し、自社をブランド化することです。企業の理念や事業に共感してもらい「この会社で働きたい!」と自社のファンを獲得します。簡単に言えば「自社のファンになってもらった状態で応募してもらうこと」。例えばトヨタ、ソニー、Google社などは多くの人が憧れる企業です。その会社の製品やサービスの良さを知っているから、すでにファンになった状態で応募します。そのような状態を作るのが採用ブランディング。具体的な手法ではなく、採用全体の土台となる仕組みづくりを指します。いかに応募者と企業を深くつなぐか、応募者の頭の中で作られるイメージによって採用の結果は変わります。
認知関心(採用ブランディング)⇨応募(採用マーケティング)⇨内定⇨入社
上のように採用ブランディングは、自社に応募してもらう手前の段階。応募前にしっかり自社の強みを伝え、共感してもらうことでマッチ度の高い採用を実現します。自社のブランドイメージを周知してもらい、「A社といえば、〇〇」と求職者に想起してもらえることが理想。採用ブランディングは、自社のファンを獲得するため、ある手法を指すのではなく、採用全体の土台となる仕組みつくりをすることです。
そのためには、単純に商品やサービスの知名度を上げることではなく、想いや企業理念をアピールすることが重要です。採用ブランディングによって自社の理念に共感してもらうことで、企業の目的に沿って活躍してくれる人材を獲得できます。応募者と企業を深くつなぐことが採用ブランディング。応募者の頭の中で作られるイメージによって採用の結果は変わるのです。
採用ブランディングの例
画像引用:baigie
採用ブランディングの施策でよくあるのが会社のロゴを変えること。ロゴを変えたからといって知名度が上がるわけではありません。では、なぜロゴを変えることがブランディングになるのでしょう?
社員が数十人であれば社長が一人ひとりに理念を語れますが、さらに規模が大きくなると社員とのコミュニケーションは少なくなります。その際、ロゴに理念や想いが込められていると視覚的に理解できます。ロゴひとつとっても目的やロジックがあり、ブランディングにつながります。採用ブランディングは情緒的なものと思われがちですが、実は論理的なもの。後半で説明する採用ブランディングのやり方を見ていただければ、さらに理解できます。
採用広報との違い
採用ブランディングとの違いがわかりにくい言葉に「採用広報」があります。採用広報とは「企業が望む人材を採用し、入社後のミスマッチをなくすため、候補者が入社するまでの体験を作り上げること」。つまり、内定や入社までの取り組みを指し、採用ブランディングは自社のファンになってもらうことなので、応募する前の話になります。
- 採用広報:応募や入社も含めた施策
- 採用ブランディング:応募してもらう前の施策
採用広報 | 採用ブランディング | |
目的 | 自社で働くイメージを持ってもらう | 自社のファンになってもらう |
ゴール | 応募や内定承諾など採用人数を増やす | 自社の理念や業務に共感した人に入社してもらう |
効果 | 必要な採用人数を獲得できる | 早期退職を減らし、活躍する人材を獲得できる |
採用広報については下記の記事をご覧ください。
関連記事:採用広報とは?具体的な施策や成功事例を解説!
関連記事:採用CXとは?メリットや改善方法を解説
採用マーケティングとの違い
もうひとつ、採用ブランディングと似た言葉に「採用マーケティング」があります。採用マーケティングの目的は応募を増やすこと。内定辞退や入社後の早期退職などは一旦横において、応募数や応募率などに比重を当てています。採用ブランディングは入社前から自社の強みや理念を理解してもらうことが目的なので、採用マーケティングとは役割が異なります。
関連記事:採用マーケティングとは?メリットや戦略、成功事例を解説!
採用ブランディングが注目される理由
- 条件だけで選ばれない時代になった
- 離職率が高いため
- 長期的な採用が必要なため
企業は多くの採用課題を抱えています。採用ブランディングが注目されるのは上記のような3つの理由からです。
条件だけで選ばれない時代になった
採用ブランディングに注目が集まるようになった要因は、少子高齢化の波が押し寄せ、人材不足の企業が増えたことが大きいです。人材不足に加えて、副業解禁やフリーランスの仕事が増え、仕事ができる人は条件だけで会社に入ってくれなくなりました。わざわざチーム(会社)に入ってまで仕事をするか、が重要になっています。そのため、採用ブランディングによって最初から仕事にやりがいを持ってくれる人に応募・入社してもらうことが大切なのです。
ヒトモノカネが大手より劣る中でどう勝負するか。理念、ストーリー、夢です。そこに共感して入社すると、仕事にやりがいを持てます。
離職率が高いため
近年、離職率が高くなっていることも採用ブランディングを後押ししています。ただでさえ、働き方の選択肢が増えている中、単純に給料や福利厚生がいいなど環境面の要因だけで入社すると早期退職につながるリスクも増えてきました。早期退職は企業にとって大きな痛手です。また、転職することがマイナスイメージではなくなり、最初から次の仕事のステップのために入社する社員も増えています。そういった離職や早期退職を防ぐため、採用ブランディングによって中長期的に活躍する人材を育成する必要が出てきたのです。
長期的な採用が必要なため
単に採用数を増やすための採用手法が中心だと短期的には採用に結びつきますが継続性がなく、来年は違う手法を探さないといけません。一方、採用ブランディングに成功すれば事業や理念が変わらない限り、それは会社の強みとなって長期的に継続できます。
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採用ブランディングに取り組むべき企業の特徴
・エントリー(応募)が少ない
・内定辞退が多い
・集まる人材の質が低い
・社員が定着しない
採用ブランディングに取り組むべき企業の特徴は主に上の4つです。
エントリー(応募)が少ない
採用媒体や採用の広告を見て事業やサービスを認知しているのにエントリーが少ないのは、自社の強みが伝わっておりらず、興味関心が薄い可能性があります。そのため、採用ブランディングによって理念や強みを浸透することで応募につながる可能性があります。
内定辞退が多い
せっかく面接をして内定が決まっても、内定辞退が多いのは他社と比べて魅力を感じてもらってないことや、給与や環境など条件面が良い競合他社に入社している可能性があります。採用ブランディングによって自社の強みや理念に魅力を感じて応募してもらうことで、内定辞退も減ります。
集まる人材の質が低い
せっかく応募が来ても、集まる人材の質が低いと選考に時間を食われるだけです。望む人材が来ないのは自社が求めている人物像が、しっかり届けた市場に浸透していないことが原因かもしれません。採用ブランディングによって、求める人物像を、適切な場所に届けることで望む人材が集まりやすくなります。
社員が定着しない
入社が決まっても早期退職が多い場合は、そもそも応募の段階で自社のファンになっておらず、少々のつらいことで辞めてしまう可能性があります。また、自社の業務内容などを理解しておらず、入社後にギャップを感じたことが原因として考えられます。そのため、応募に至るまでに採用ブランディングによって自社の強みや理念を理解してもうことで、早期退職も減らせます。
採用ブランディングのメリット
- 応募が増えマッチ率も上がる
- 持続性のある採用効果が見込める
- 費用対効果がいい
- 既存社員のモチベーションアップ
採用ブランディングに取り組むか検討している方に、判断材料としてメリットとデメリットを紹介します。また、メリットを理解しておけば実際に取り組むときに戦略を立てやすいです。
メリット①応募が増えマッチ率も上がる
1つ目のメリットは「応募が増えてマッチ率も上がる」ことです。自社のファンを増やすことで「ここで働きたい」と思っている応募者が増えます。自社が好きであれば、知人や友人などへ入社を推奨する、SNSやブログなどで自社の魅力を発信してくれる可能性もあります。そして、理念や事業を理解してくれる応募者が集まる採用ブランディングは、企業側が望む人材が集まりやすいです。
逆に、求人媒体に掲載することで応募者はすぐに増えるかもしれませんが、企業側が欲しい人材が集まるとは限りません。単純に応募数が増えても、採用したい人材が現れなければ試験や面接のコストばかりかかり、徒労に終わってしまいます。
メリット②持続性のある採用効果が見込める
採用ブランディングの軸は理念に共感してもらうことなので、内定者の辞退や入社後の早期退職が減り、持続性のある採用効果が見込めます。会社がハードシング(難題)にぶつかったときも、すぐに見捨てず一緒に立ち向かってくれる同志になります。
給与や職場環境など待遇面で入社した場合、他社からの引き抜きや、入社前のイメージとのギャップがあった場合、早期の退職につながってしまいます。その点、企業のファンになってもらう採用ブランディングは継続性が高く、中長期的な採用戦略と言えます。
メリット③費用対効果がいい
採用ブランディングは企業理念を軸とするため、採用の軸が変わりにくいです。採用サイトや動画も数年間は同様のものを使え、社員数や決算の数字を変えるなど、少しの変更で良いです。
一方で求人媒体で応募者を募った場合、即効性が見込めるメリットの代償に、1人採用するのにコスト(採用単価)が50万円かかると言われています。毎年、媒体に出稿すると経費もかかる上に、退職されるリスクも増えます。一度、採用ブランディングの確立に成功すれば、コストや時間を減らして効率的に採用することが可能となります。
関連記事:採用コスト(採用単価)とは?削減する方法や成功事例を解説
メリット④既存社員のモチベーションアップになる
採用ブランディングは既存社員のモチベーションアップにもつながります。ブランド化を図るために採用サイトのリニューアルやロゴの変更など、企業がアップデートするので、社員のモチベーションも上がります。また、社員インタビューや発信など社員の協力が必要不可欠になるため、団結力も上がります。
例えば上の画像のように採用ブランディングのためのコンテンツを作る際にワークショップを開くことで、社員同士のコミュニケーションが活発になります。
採用ブランディングのデメリット・注意点
- 全社を巻き込む必要がある
- すぐに人材が欲しい場合には向かない
メリットの多い採用ブランディングですが、良いことばかりでもありません。しっかり注意点を把握した上で、採用ブランディングに取り組みましょう。
デメリット①全社を巻き込む必要がある
既存社員のモチベーションアップになることが採用ブランディングのメリットですが、同時にデメリットになる可能性もあります。採用ブランディングは全社を巻き込む必要があり、労力が大変です。後ほど方法を解説しますが、ブランディングを構築するためには、現場や他部署など全社を巻き込む必要があります。採用部署の他に協力を得られそうかは採用ブランディングに取り組むか否かの重要な判断材料。社員によっては「面倒くさい」「自分の仕事だけに集中したい」など逆効果になるかもしれません。採用ブランディングはエモーショナルな部分が大きく左右する施策です。
デメリット②すぐに人材が欲しい場合には向かない
もう一つは今すぐ人員が欲しい場合には向かないこと。全社で取り組む必要があり、理念を浸透させる採用ブランディング構築は一朝一夕では不可能です。ある程度は時間をかける必要があり、「今月、1人だけ欲しい」などの場合は、求人媒体などで募集するほうが即効性が見込めます。
採用ブランディングの方法・やり方
- 自社の理念、強みを整理する
- 求める人材像を明確にする
- キャッチコピーを考える
- ブランディングのクリエイティブを作る
- 社内の意識を統一する
- ブランドのイメージを発信する
ここから採用ブランディングを行う際の5つの手順を解説します。上のSTEPだけを見るとどれも当たり前と感じるかもしれませんが、根気強くきちんと取り組んでいる企業は意外と少ないです。
STEP1:自社の理念、強みを整理する
最初に行うのは「自社の理念、強みを整理する」こと。当サイトhypexでは上記のようにGoogleスプレッドシートやExcelなどにまとめています。事業を立ち上げたきっかけや、創業時の想い、沿革、現在のビジョン、今いるメンバーがどういった「らしさ」を持っているかなどの整理を行います。
- 自己実現的価値(入社することで、どのような人物になれるか)
- 社会的価値(社会にとってどのような価値がある企業・事業か)
- 独自性(市場または候補者にとってのオンリーワンなポイント)
自社の強みは上の3つを考えましょう。下記の記事も参考にしてください。
関連記事:企業の魅力を高める「4P」が求職者を惹きつける採用のカギ!
STEP2:求める人材像を明確にする
2つ目のステップは求める人材を明確にすること。「〇〇大学の◇◇学部で体育会系の運動部・サークルに所属している経営に興味がある学生」など、そこまで細かく設定してもいいくらいです。
逆によくない例は「誠実な人」など曖昧な人物像。
この場合「誠実」の定義が人によって違うため、採用基準が定まりません。もし誠実な人が欲しいなら、自社の考える誠実とはどんな行動か?など、具体的に落とし込むことが必要です。
ターゲットを絞ると応募者(母集団)を限定してしまうと考えがちですが、採用する際の基準の設定にもなる上に、応募や入社後のミスマッチをなくせます。ターゲットを決めないと、採用サイトやパンフレットなどでも、何が言いたいのか分からなくなります。人物像を設定するときは、応募者に必要な要素「MUST(マスト)」と、持っていて欲しい要素の「WANT(ウォント)」に分けるといいでしょう。
また、求める人物像を決定する方法として「どんな人材が欲しいのか現場の人間に聞く」こともおすすめ。経営層や採用部署が求めている人材と実際の現場では乖離があるかもしれません。
関連記事:採用基準とは?設定方法や決めるときのポイント、注意点を解説
関連記事:採用ペルソナとは?採用ターゲットとの違いや作り方を解説
STEP3:キャッチコピーを考える
ターゲットを決めたら、次にメッセージや採用スローガン、キャッチコピーを考えます。
画像出典:株式会社WOWOW
例えば有料放送事業を手掛ける株式会社WOWOWの採用スローガンは「偏愛上等。」地上波でも公共放送でもない独自のエンターテイメントを築き上げるために、個性を前面に出したキャッチコピーにしています。これが採用ブランディングの「軸」となります。何度も言うように、採用ブランディングは「理念」に共感して応募してもらうこと。ブランディング=他社との差別化です。
ただし、メッセージは数が多くなるほど何が言いたのか分からなくなり、誰にも刺さらなくなるので、1つに絞ることがポイントです。
関連記事:採用キャッチコピーの事例25選!作り方も解説!
関連記事:採用コンセプトとは?事例や作り方を解説!
STEP4:ブランディングのクリエイティブを作る
チャネル(種類) | 特徴 |
採用サイト | 自社の魅力を伝えられ、企業の理解が進む |
採用動画 | リアルで温度感や想いが伝わりやすく、自分ごと化しやすい |
オウンドメディア | 丁寧に情報を届けやすく、企業の理解が進む |
SNS | 互いにコミュニケーションが取れ、親しみを持ってもらえる |
理念・ターゲットを踏まえてコンセプトを構築したら、それを採用媒体に落とし込み、全社で採用活動に取り組みます。採用媒体は主に、採用サイト、採用動画、SNS、パンフレット、企業説明会など。予算や予算や目的などから、最適な施策を考え、取り組んでいきます。
採用ブランディングを行うためには、どの媒体でも理念、コンセプトが統一されでいることが大切です。SNSと採用サイトでメッセージが違っていてはブランディングは構築できません。ブランディングの構築は「一貫性」に加え、全社で採用活動に取り組むことが必要です。入社後の成長も考える採用ブランディングでは、以下の3つを応募前に理解してもらうことが大切だからです。
・企業理念
・経営の戦略
・現場の活動
そのためには、企業説明会には最前線で仕事をしている現場の人間に登壇してもらい、業務や仕事のやりがいを語ってもらう必要があるかもしれません。採用担当者と現場の生の声では、伝わり方も変わります。また、全社だけでなく、時には付き合いのある外部の企業に自社の魅力を語ってもらうことも戦略のひとつ。第三者の意見なので、応募者に対して信用性の担保につながります。
STEP5:社内の意識を統一する
採用ブランディングのコンテンツを制作したら、社外にリリースする前にブランド・コンセプトを既存の社員に浸透させることが大切です。社外とのコミュニケーションで、ブランドメッセージと社員の発言が食い違っていると、ブランドイメージのマイナスになってしまいます。
そのため、先にブランドコンセプトを社内に浸透させてください。既存社員に浸透させることで、モチベーションアップにもつながります。
STEP6:ブランドのイメージを発信する
採用ブランディングが社内で醸成されたら、採用サイトや採用動画などのコンテンツを社外へ発信します。すぐに採用ブランディングの効果を測定したい場合は、取引先や株主などにアンケートを依頼して、ブランド・イメージが浸透しているか確かめるといいでしょう。応募数などの数値で測る採用マーケティングとは違って、採用ブランディングでは心象など「質的な」変化を重視します。
採用ブランディングは成果は「すぐに」は可視化できません。根気強く、採用ブランディングに取り組んでいきましょう。
【番外編】第三者に魅力を語ってもらう
自社で魅力を発信することが何より大事ですが、時に第三者に自社の魅力を語ってもらうことも採用ブランディングの成功ポイントです。
- SNSで良い企業・サービスと言及される
- 他社のメディアに取り上げられる
- 他社のYouTubeに出演する
上記は、第三者の意見なので信用性の担保につながります。待っていて勝手に取り上げられることが理想ですが、「SNSで紹介してもらえませんか?」「貴社のメディアやYouTubeに出演させてもらえませんか?」など、営業活動を行うことも大切です。待っていても成果は生まれません。積極的に動くようにしましょう。
採用ブランディングのやり方が分からない、もしくは採用ブランディングを代行してほしい欲しい方は当サイトhypexにご相談ください。予算や目的などをオンラインでヒアリングし、最適な提案をさせていただきます。相談料は一切かかりません。 まずは相談だけでも構いません。
採用ブランディングのチャネル
採用ブランディングに取り組む際に、行う施策として多いのは上の4つです。どれも企業をしっかり理解してもらい、ファンになってもらうことを目的としています。他にも企業説明会を開催したり、先ほど説明した企業ロゴの変更なども採用ブランディングで行われます。
採用サイト、採用ピッチ資料
特徴:自社の魅力を伝えられ、企業の理解が進む
活用:求人媒体や採用広告、スカウトメールと連携
採用ブランディングにおいて重要になるのが採用サイトや採用ピッチ資料(会社資料)です。求人媒体や人材紹介だけでは企業を理解する情報量や伝え方が制限され、ブランディングにつなげるのは難しいです。広告やスカウトメール(ダイレクトリクルーティング)など何らかの形で会社を知るきっかけを持ったとき、正しい情報を届けるために採用サイトや採用ピッチ資料を作り、その内容も良いものにすることが大切です。
関連記事:採用サイトの効果とは?メリットや目的、運用方法を解説
関連記事:採用ピッチ資料とは?作り方や参考事例25選を紹介
関連記事:採用サイト制作の費用相場、見積もり事例、料金を抑えるコツを解説
採用オウンドメディア(オウンドメディアリクルーティング)
特徴:情報量が多く、企業の理解が進む
活用:採用サイトやSNSで発信する
採用ブランディングに重要なコンテンツが「採用オウンドメディア」です。ここでは主に記事コンテンツを指します。採用サイトに記事を掲載し、SNSなどで発信することで情報量が増え強化されます。企業理解を進める目的としては採用サイトや採用ピッチ資料と同じですが、採用サイトは情報量が多すぎると迷子になるため、記事に分割することで採用候補者が情報を探しやすくなります。
また、採用サイトはすでに企業に興味を持った顕在層が訪れる媒体ですが、記事コンテンツは内容や企画によっては、まだ企業のことを知らない潜在層にもアプローチできます。例えば「社員が〇〇に挑戦してみた」などエンタメ色のある記事であればSNSで拡散されるかもしれません。
関連記事:オウンドメディアリクルーティングとは?メリットや成功事例を紹介!
関連記事:採用オウンドメディアの参考事例12選
SNS運用
特徴:互いにコミュニケーションが取れる
活用:会社情報の発信や採用サイト、オウンドメディアと連携する
採用に関するSNSアカウントを作ることで採用ブランディングが加速します。最も大きな点はSNSユーザー層が多く潜在層にアプローチできることですが、他の採用手法と違う点は相互にコミュニケーションが取れることです。候補者と相互にやり取りすることで関係性を構築でき、自社のファンにもなってもらえやすいです。
関連記事:企業がSNS採用に取り組むメリット、成功事例、注意点を解説
採用動画
特徴:リアルで温度感や想いが伝わりやすく、自分ごと化しやすい
活用:採用サイトやSNSと連携、YouTubeで流す
採用動画は採用ブランディングの大きな推進力になります。動画はリアルで温度感や想いが伝わりやすく、自分ごと化しやすいです。リアリティや臨場感、空気感を伝える上でテキストや写真とは比較になりません。活用方法としては、採用サイトに掲載する、SNSで発信する、YouTubeチャンネルを作る、もしくはYouTubeの広告でPRするなどがあります。
関連記事:採用動画はどう作る?事例や作り方、費用を解説!
関連記事:採用動画制作におすすめの映像制作会社を厳選!
採用ブランディングの成功事例
続いては実際に採用ブランディングに成功した企業の事例を5つ紹介します。自社で取り組む際の参考にしてください。
株式会社グローバル・リンク・マネジメント(不動産)
画像出典:株式会社グローバル・リンク・マネジメント
1社目は渋谷に本社を構える不動産企業「株式会社グローバル・リンク・マネジメント」。
不動産投資はブラックなイメージがあり、採用に苦労すると言われている業界。説明会には応募者が来ない、無断キャンセルも多い現状で、同社も毎年5名採用するだけでも大変な苦労でした。
そこで応募のターゲットを「経営に興味がある人」「成長意欲の高い人」に設定し、採用のキャッチフレーズを「人生は投資だ」に変更。さらに、会社の強みである、上司や先輩、経営陣などの「人」が魅力で、社内の雰囲気が良いことをアピールする方針に転換しました。
そのコンセプトをもとに採用チーム全員で採用基準や役割分担、説明会の開催時期の見直しなどを実施。社内で活躍している現場の営業担当を採用プロジェクトのメンバーにし、説明会などに参加してもらったことで、2016〜2018年までの3年間で内定者が急増し、2018年は内定者17名、内定承諾者13名と成果がアップしました。
株式会社ベッセル(ホテル業)
画像出典:株式会社ベッセル
2社目の事例は広島県福山市に本社を構え、全国や海外にホテル・飲食店を展開する株式会社ベッセル。
元々は地元の私立大学を中心に採用を行っていましたが、全国に事業を展開しているため「福山から出たくない」と内定辞退社が多いことが課題。
そこでターゲットを地元出身の全国の大学に変更。「地元の福山にも貢献したい気持ちもありつつ、グローバルに活躍したい学生」をターゲットに、採用スローガンを「福山は、世界だ」に設定しました。
その結果、首都圏や関西圏に出ていった学生からの応募が増え、採用広報前は内定者が6、7名だったところ、25〜28名と約4倍に増えました。
2017年の入社式では、内定者が「福山は、世界だ」のスローガンを自ら発表するなど、採用ブランディングに成功したエピソードが残っています。
株式会社ギフト(飲食業)
画像出典:株式会社ギフト
全国および世界に「家系ラーメン」を展開する株式会社ギフト。街で見かけることも多いでしょう。当社の採用ブランディングは徹底しています。もともと不人気と言われる飲食業界の採用で、当初は採用者が0という状況。そこで、社名を「株式会社町田商店」から「株式会社ギフト」に変更し、企業スローガンも「家系を、世界への贈り物に。」にしました。
同時に、採用サイト、採用パンフレットも一新してコンセプトの統一を徹底。さらに独自の取り組みとして「ラーメン説明会」を実施しました。これは同社のラーメンを食べながら説明を聞き、世界展開を考えるワークショップというユニークな企業説明会です。その結果、初年度から高卒・大卒あわせて15名を採用することができたのです。
NTTデータ(製造業・流通業・サービス業)
画像引用:株式会社NTTデータ
株式会社NTTデータの事例です。同社は製造業・流通業・サービス業などの部門において、技術力やブランド力がエンジニアに届いていないことが課題でした。
競合も強いため、まだ転職を考えていない潜在層を狙うべく、2021年より採用ブランディングを実施。具体的にはGoogleやInstagramへ採用広告の出稿、採用LPの構築、YouTubeでの社員インタビュー動画配信などを行いました。
初年度は前年と応募は変わらなかったものの、1年後から増えていき、募集職種での経験者採用数は以前に比べ倍になりました。しかも応募数の増加だけでなく、新入社員のアンケートでは、採用LPやYouTube動画を見て「期待に胸が高まった」という声も上がりました。採用ブランディングに成功した証です。
成功要因としては広告、LP、動画と多面的な採用コンテンツを配信したこと、1年間結果が出なくても継続したこと、そして自社のイメージが社外の人にどう見られているか調査をしたことが挙げられます。
関連記事:エンジニア採用の成功事例8選!おすすめの採用広報も紹介
ベイジの日報(Web制作会社)
画像引用:ベイジの日報(株式会社ベイジ)
Web制作会社である株式会社はベイジは『ベイジの日報』という採用オウンドメディアで採用ブランディングを行っています。ワードプレスで作ったサイトに社員の日報を公開しています。もともと同社の業務としている日報を公開するのでローコストで済み、同時に外部からわかりにくいBtoB企業の社員や実態が理解できるので一石二鳥。ユニークな取り組みとしてブランディングとしても成功し、採用につなげています。
以上、5つの成功事例を紹介しましたが、その他に採用に成功した企業の事例を集めた記事もあります。以下もご参考ください。
関連記事:採用広報で知っておきたい企業の成功事例15選!SNSの活用方法も紹介
採用ブランディングを依頼した際の費用相場
内容 | 費用・相場 | 期間 |
全体分析 | 30万〜70万円 | 約1、2ヶ月 |
ペルソナ作成 | 20万円〜50万円 | 半月〜1ヶ月 |
コンテンツ設計 | 30万円 | 半月〜1ヶ月 |
チャネル設計 | 20〜50万円 | 半月〜1ヶ月 |
合計 | 100万〜200万円 | 2.5ヶ月〜5ヶ月 |
採用ブランディングを依頼すると、約100万〜200万円です。これは採用サイトや採用動画などのコンテンツ制作費用は含まれていません。
①全体分析:30万〜70万円(約1、2ヶ月)
理想と現状の整理 | 理想と現状の差分が引き起こしている問題 |
社外分析 | 競合他社の現在の施策と課題リサーチ |
社内分析 | 現在のメンバー、応募方法、在籍理由、理解変化 |
要件の明確化 | 求める人物や採用単価、期間など採用要件の整理 |
まずは、採用全体のコンセプトを決めるために1〜2ヶ月をかけて上の4つをやっていきます。最初は理想と現状の整理です。理想の採用状態と現在の状態のギャップは何か?その原因は何かを探ります。例えば、採用単価の理想は〇〇円だが、現在は〇〇円かかってしまっている、などです。
次に社外分析を行います。競合にあたる企業が行っている採用施策や評判などを調査します。そして、現在の社内メンバーがどんな人なのか、どんな応募で入社してきたのか?今、働いている理由などをリサーチします。
最後に、求める人物像や採用単価、いつまでに何人採用するのかなど、採用要件を明確にしていきます。これらは採用コンセプトと呼ばれるものです。採用ブランディングの軸となる部分なので、時間をかけて行います。費用は30万〜70万円ほどです。
関連記事:採用コンセプトとは?事例や作り方を解説!
②ペルソナ作成:20万円〜50万円(半月から1ヶ月)
– 誰に:セグメンテーション・ターゲティング・ポジショニング
– 何を:機能的価値(実態の価値)・情緒的価値(概念の価値)
全体分析が終われば、採用したいターゲットを決めていきます。自社の強みが刺さるのはどんな人か?を考えます。そのために誰に、何を届けるべきかを半月から1ヶ月ほどかけて行います。自社の強みは何か?どんな企業理念なのかをもとにペルソナ作成を行います。費用は期間によって変わり、20万円〜50万円ほどです。
③コンテンツ設計:30万円(半月)
自社の課題や理想像、求める人物像を決めたら、その人たちにどういう形で伝えるのか?どんな採用プラットフォームが必要なのかを考えます。
採用サイトなのか、採用動画なのか、採用ピッチ資料なのか、などを決めます。すでに自社にある場合は、リニューアルすべきかなどを検討します。半月ほどかけて行うため、費用は30万円ほどです。
※コンテンツ設計は戦略を決める部分であり、実際の採用サイトの制作費やリニューアル費用とは別です。実際にどれくらいかかるかは下記の記事を参考にしてください。
関連記事:採用サイト制作の費用相場、見積もり事例、料金を抑えるコツを解説
関連記事:採用サイトのリニューアル相場・費用や料金を抑えるコツを解説
関連記事:採用広報動画はどう作る?事例や作り方、費用を解説!
関連記事:新卒採用サイト事例100選!就活生の私が惹かれたサイトのみを厳選
④チャネル設計:20〜50万円(半月から1ヶ月)
採用サイトや動画を作っても、すぐに見てもらえるわけではありません。作ったものをみてもらうために、どういう経路で流入してもらうかを決めるのがチャネル設計です。Web広告、プレスリリースを打つ、スカウト文を送るなど戦略を考えます。
以上の4工程が採用ブランディングにかかる費用・相場です。そこにプラスα、実際の採用サイトの制作費や広告運用など採用広報の料金がかかります。
※ここまで読んで、採用ブランディングをプロに相談したい、もしくは採用ブランディングを依頼したい方は採用広報支援のhypexにご相談ください。予算や目的などをオンラインでヒアリングし、最適な提案をさせていただきます。相談料は一切かかりません。
採用ブランディングの見積もり事例
合計金額:¥7,530,000円(税別)
コンセプトメイク(3〜5ヶ月) | 490,000円 |
他社分析の人件費 | 99,000円 |
採用広報の基本業務 | 19万円〜35万円 |
採用サイト制作 | 100万円〜300万円 |
採用ピッチ資料(50P) | 60万円 |
採用記事制作(3本) | 36万円 |
広告運用手数料 | 出稿費の20% |
採用サイトのリダイレクト費用 | 10万円〜 |
採用サイトの運用・保守費用 | 1万円〜/月 |
採用代行(RPO)費用 | 35万円/月 |
上の見積もりは当サイトhypexが実際に行った採用ブランディングの見積書の事例です。採用ブランディング単体では約100万円前後になり、採用コンテンツの制作費や運用費の割合が大きくなっています。
採用ブランディングの他にも「採用サイト」「採用ピッチ資料」「採用記事」「広告運用」などの費用も加算されています。期間は全部で1年くらいを見越しています。
採用ブランディングのやり方が分からない、もしくは採用ブランディングを代行してほしい欲しい方は当サイトhypexにご相談ください。予算や目的などをオンラインでヒアリングし、最適な提案をさせていただきます。相談料は一切かかりません。 まずは相談だけでも構いません。
【コラム】採用ブランディングは自社でやるか?コンサル会社に依頼するか?
ここまで読んで、自社だけで採用ブランディングに取り組むのは厳しいと思われた方もいるでしょう。とはいえ、中長期の展望も踏まえると、採用ブランディングに取り組みたい企業は多いです。
成功の確率を上げるためには、採用ブランディングのプロである会社に依頼するのも一手。これまでの解説から分かるように、採用ブランディングは全社で取り組む必要があるため、採用活動を丸投げすることはできません。
そこで、アドバイスだけをもらう採用コンサルティングを依頼するといいでしょう。採用コンサルの会社を選ぶ際は、採用実績や経験が豊富かどうかより、自社の理念や事業への理解が深い会社を選んでください。過去の実績豊富(内定者が多いなど)だけで選んでしまうと、単に応募者や内定者が増えるだけでブランディング構築につながる提案はできないからです。
ブランディングは一朝一夕ではないので、対策やアドバイスを納品して終わりではなく、伴走型のコンサル会社がおすすめ。この記事を書いている株式会社hypexも企業の採用をお手伝いしていますので、採用ブランディングの相談をしたい方は、ぜひお問い合わせください。
採用ブランディングのやり方が分からない、もしくは採用ブランディングを代行してほしい欲しい方は当サイトhypexにご相談ください。予算や目的などをオンラインでヒアリングし、最適な提案をさせていただきます。相談料は一切かかりません。 まずは相談だけでも構いません。
採用ブランディングを依頼する際のポイント
最後に、採用ブランディングを依頼する際のポイントを3つ紹介します。
金額ではなくコストパフォーマンスを考える
採用ブランディングは長い期間でやることが多く、その後の採用に大きく関わる部分です。単純に見積書の金額が安いところで選ばず、長期的(ブランディング後の採用活動)にお付き合いできそうかなど、プライス(金額)ではなく、コストパフォーマンスで見た方がいいです。
担当者のリテラシーがわかると良い
採用ブランディングを依頼するときは、担当者のリテラシーがわかると、採用代行会社がやり取りしやすくなります。
・採用担当の経験が浅く、採用に関する専門用語は控えてほしい
・採用経験は長いが、ITリテラシーは高くない。Webに関することは丁寧に説明してほしい
上記のように、これから採用ブランディングに取り組む担当者のリテラシーを依頼先に伝えるようにしましょう。
採用ブランディングの見積もりがしやすくなるポイント
- RFP(提案依頼書)がある
- リニューアルの目的/経緯が明確
- サイトマップが明確
- 会社の独自性のヒアリングが完了している
- 参考サイトが2,3個あってどこが気に入ったポイントなのかがわかる
- サーバー/ドメインをどうするかが明確
上記が事前に用意できていると、場合によっては打ち合わせしなくても見積もり作成が可能になります。その分、見積もり金額も正確で費用も安くなります。要件が明確でないと、採用代行会社は追加費用が発生しないよう、多めに見積もるからです。
ただし、全部は用意しなくても構いません。自社で可能な部分だけ用意しましょう。お手伝いして欲しい方は当サイトhypexにご相談ください。
採用ブランディングのポイントまとめ、おすすめの本
最後までご覧いただき、ありがとうございます。採用ブランディングの基礎知識から具体的な方法を解説してきました。ポイントを整理します。採用ブランディングとは応募前にしっかり自社の強みを伝え、企業の理念に共感してもらい、自社のファンを獲得して採用に活かすことです。
◎採用ブランディングの方法
- 自社の理念、強みを整理する
- 求める人材像を明確にする
- キャッチコピーを考える
- ブランディングのクリエイティブを作る
- 社内の意識を統一する
- ブランドのイメージを発信する
この記事に加え、より深く採用ブランディングについて学びたい方は書籍を読むことをお勧めします。1冊だけ選ぶなら、深澤了 著『採用ブランディング完全版』WAVE出版が良いでしょう。採用ブランディングの基礎から、具体的な実践方法、成功事例などが網羅的に学べます。ぜひ読んでみてください。
初めて採用ブランディングに取り組む企業は、コンサルを短期間だけ依頼し、ノウハウを学んであとは自社で行う方法もおすすめです。コンサルと聞くと高額なイメージがありますが、採用ブランディングに特化したコンサルであれば、採用マネージャーを1人雇う料金と変わりません。それなら経験豊富なコンサルに依頼する方が得策とも言えます。自社のリソースでは厳しい、プロから学んでから自社で取り組みたい企業は検討してみてください。
採用広報のhypexでは、採用ブランディング支援をしています。採用ブランディングに興味のある方はお問い合わせください。支援させていただいた企業は月間300名以上の応募を獲得しています。
相談の際は、問い合わせ内容に「理想と現状と課題感」を簡単にご記載いただけると、スムーズにサービス案内が可能です。
成長企業における採用ブランディング・採用マーケティングを専門とし過去2年で50社以上を直接支援。前職では、月間150万利用者数を超える医療・美容のWebサービスの事業責任者、兼経営陣として組織の成長を牽引。成長組織におけるOKRを利用した評価制度の構築や外国人、ジェネレーション、女性、LGBTQ+などのダイバーシティ・マネジメントに尽力。