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採用CXとは?メリットや改善方法を解説

2024.03.18

採用CX,候補者体験

採用活動の忙しさに追われると、応募者の対応が不十分になりがちです。応募者体験が悪いと、内定辞退や早期退職につながり、せっかく採用した苦労が水の泡。採用活動の成否を左右するのが採用CXです。聞きなれない用語ですが、今後の採用において需要が高まります。この記事では採用CXについて下記の項目を解説します。

当サイトhypexは企業の採用CXを支援するサービスです。最後まで読めば採用CXについての概要が理解できます。

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採用CXとは

採用CX

採用CXとは企業を認知することから入社までの間で候補者が体験することを指し、その体験を高める施策を指します。CX(Candidate Experience)を直訳すると「候補者体験」になります。

採用CXの具体例を挙げると、自社について詳しく知りたい候補者に向けて採用サイトを作る、もしくはリニューアルして候補者に情報を詳しく届けることなどです。候補者は情報を得ることで企業に応募するか判断しやすくなるので体験性が向上します。これが採用CXです。

採用ブランディングとの違い

採用ブランディング,採用ブランディンとは

採用CXと似た用語に「採用ブランディング」があります。採用ブランディングは候補者に想起して欲しいイメージにすること。例えば製造業のA社であれば「A社=良い製品を作る会社というイメージを持ってもらうこと」が採用ブランディングです。もっと言えば、「良い製品を作る企業といえばA社」などになれば最高です。その理想の姿に近づけていくことが採用ブランディング。

一方の採用CXは「この企業に応募したい、入社したい」と意向度をあげることが目的。意思決定のために必要な情報を提供することが採用CXです。採用候補者の満足度を上げる点でやるべきことは似ていますが、目的が違います。

関連記事:採用ブランディングとは?方法やメリット、成功事例、費用相場を解説

採用CXが注目される理由

  • 企業より候補者が強くなっている
  • 早期退職、転職を防ぐ
  • 採用候補者の意思決定の変化

採用CXに取り組む必要性が増えている理由は売り手市場だからです。昭和や平成は企業が候補者を選ぶ時代でしたが、現在は採用候補者が企業を選ぶ方向性が強くなっています。優秀な人材を獲得するには自社に魅力を感じてもらう必要があります。企業が採用候補者のために頑張らないといけない時代なのです。

次に早期退職や転職が増えているからです。昔は「早期退職や転職=ネガティブなイメージ」でした。候補者も履歴書に傷がつく心配から長期で働く会社を選んでいましたが、現在は転職が当たり前で以前より辞めやすくなっています。

採用候補者の意思決定・ニーズも多様化し変化しています。採用担当者と話して自分の将来を選ぶ傾向が強く、最初から次の転職のためのステップとして入社する候補者も少なくありません。早期退職は企業にとって痛手です。長く働いてもらうために採用CXの重要性はますます高まっていきます。

採用CXに取り組むメリット

  • 採用単価を抑えられる
  • 内定辞退を防げる
  • 早期退職を減らせる
  • 競合他社より優位に立てる

採用CXに取り組むメリットは主に4つです。

採用単価を抑えられる

採用CXに取り組むことで採用単価(1人あたり採用するのにかかる費用)を抑えられます。採用CXを改善できれば自社採用の比率が高まり、採用媒体や人材紹介などにかけるコストが減っていきます。採用において最も費用が高いのが人材紹介(エージェント)です。しかし、採用CXに成功することで徐々に第三者に頼らなくて良くなっていきます。

関連記事:採用コスト(採用単価)とは?削減する方法や成功事例を解説

内定辞退を防げる

採用CXが良くなれば内定辞退の数も減らせます。採用候補者の満足度が上がれば、内定を出したときに承諾される可能性が高いのです。せっかく選考や面接などを経て入社して欲しい人材に巡り会えたのに内定辞退されては水の泡。内定辞退を防ぐためには採用CXに取り組むメリットは大きいです。

早期退職を減らせる

採用CXが高まることは、自社のことを気に入って入社しているということ。入社前後のギャップが少なく、会社に愛着があるので早期退職の可能性も低くなります。しかも、意欲を持って入社してくれるので、業務において成果を生んでもらえる可能性が高まります。

競合他社より優位に立てる

採用CXに取り組むことで競合他社より優位に立てます。給料や福利厚生も大差ないのに負けてしまう、もしくは給料や福利厚生で負けていても候補者の体験が高まれば、自社を選んでくれる可能性が高くなります。先述したように現在は採用候補者の意思決定が変わってきています。パーパス(会社の存在意義)やカルチャーなど、感情的な価値で違いを生むことで良い人材が入社してくれる可能性が高まるのです。

採用CXの全体像

  1. 非認知
  2. 認知
  3. 情報収集
  4. 比較検討
  5. 応募
  6. 面接
  7. 内定(入社)

採用活動の中で採用CXに関わってくるのは上の7段階です。それぞれのフェーズで採用CXのためになにをすべきか考えることが大切です。採用候補者はそのときどんな感情なのか、どんなタッチポイント(接点)があるのかを知りましょう。

非認知

候補者の感情仕事を辞めたい、転職したい、条件の良い会社で働きたい
タッチポイント(接点)無し。計画段階

まだ採用候補者が自社のことを知らない「非認知」の段階です。採用CXに向けた準備段階です。この時点では下記の3つを明確にしておく必要があります。

  • 採用ペルソナ(どんな人物を採用したいのか)
  • 採用計画(いつまでに何人を採用するのか)
  • 採用戦略(採用目標を達成するための採用手法)

計画性・戦略性が重要になり、軸を決めて採用コンテンツを作る必要があります。特に重要なのが採用ペルソナ。

採用ペルソナ

自社が求めているのはどんな人物なのかが明確でなければ候補者体験を高めることはできません。主に下記の項目を決めます。

ペルソナ設定の項目実例
必要なスキル紙媒体かWebメディアで3年以上の経験がある
職種編集者
年齢30代
趣味インドア派
家族構成配偶者あり(子供はなし)
現在の年収600万円
これまでの仕事
(学生時代の活動)
店舗リーダーの経験あり
カルチャーフィットする性格人に教えるのが好き
今後の仕事のスタンス自分から新しいアイデアを提案する

詳しい決め方などは下記の記事を参考にしてください。

関連記事:採用ペルソナとは?採用ターゲットとの違いや作り方を解説
関連記事:採用計画とは?立て方やポイントを解説
関連記事:採用戦略とは?戦略の立て方、成功事例、フレームワークを紹介
関連記事:カルチャーフィットとは?見極める方法や採用の準備を紹介

認知

候補者の感情こんな会社あるのか、会社の場所はここか
タッチポイント(接点)採用媒体、採用広告、ダイレクトリクルーティングなど

企業の存在、事業内容を採用候補者に認知してもらう段階です。初めて採用候補者とのタッチポイントが生まれ、この時点では採用コンテンツの中身よりも、いかに多くの接点を作るか、望む人材に届けられるかが重要です。まだ認知度が低い企業であれば採用媒体、採用広告、ダイレクトリクルーティングなどが中心となります。その中から採用手法を選ぶノウハウ、活用するノウハウなど戦略・マーケティングが求められます。

関連記事:採用マーケティングとは?メリットや戦略、成功事例を解説!
関連記事:採用広告とは?種類とメリット、費用や事例を解説
関連記事:ダイレクトリクルーティングとは?メリットや費用、サービスを比較

情報収集

候補者の感情社内の雰囲気は良いのか? 条件は良いか?
タッチポイント(接点)採用サイト、オウンドメディア、企業説明会など

企業の存在を知った候補者は、自分にふさわしい会社か応募するか決めるために情報収集を行います。会社概要や沿革だけでなく、企業理念や将来像などのパーパス(会社の存在意義)、どんな社員がいるかなど踏み込んだ情報が求められます。

採用媒体は情報性が限られてしまうため、いかに自社のことを理解してもらう採用コンテンツに触れてもらうかといった採用コンテンツの中身が重要になります。自社で働くイメージができなければ採用候補者は応募してくれないので、採用広報のノウハウが求められます。

関連記事:採用サイトの効果とは?メリットや必要性、運用方法を解説
関連記事:オウンドメディアリクルーティングとは?注目される背景、メリットや成功事例
関連記事:採用広報とは?メリットや進め方、成功事例、7つの施策を解説!

比較検討

候補者の感情他社より良い会社か、どうやって比較すればいいか
タッチポイント(接点)SNS、口コミ(評判)、採用動画

企業への興味関心が醸成されたあと、採用候補者は他社との比較検討に入ります。時間が無限にあるわけではないので応募する企業を選別します。その際、給与や職場環境などの条件だけで比較されると大企業や有名企業に負けてしまうので、いかに他社にはない魅力を伝えられるか、候補者が「株式会社〇〇 評判」などで検索したときに良い口コミがあるかなどが重要になります。

採用候補者の検索行動としては社員のSNSチェックも近年増えています。SNSは本音や社員の趣味嗜好が出やすいので、どんな人が働いているのかを知るのに絶好のツールです。また、入社後のイメージをしてもらうのに最適な採用コンテンツは採用動画です。情報量が豊富でリアルに伝えられ、他社と差別化できるコンテンツです。

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応募

候補者の感情どんな人材を求めているか、どんな選考があるのか
タッチポイント(接点)採用サイト、採用LP、採用ピッチ資料など

企業について情報収集し、興味を持った採用候補者が応募をしてくれるフェーズです。採用サイトなどで候補者が応募しようと思ったときに、すぐに応募できるようにフォームを設置しておくこと、できるだけ応募フォームがあるコンテンツとの接点を増やすことが重要です。見やすさだけでなく、使いやすさも求められます。例えば下の採用サイトのように、社員インタビューのページであっても応募フォームを設置しましょう。

社員インタビュー

また、候補者の体験を高めるためには、応募するか判断しやすいように選考方法を明確にすること、できるだけ多くの判断材料を与えて企業とのミスマッチをなくすことが重要です。採用ピッチ資料など情報量が豊富な採用コンテンツがあるのが望ましいです。

関連記事:採用サイトの作り方をプロが解説!作成手順、作り方のポイントも紹介
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面接

候補者の感情社内はどんな環境か、一緒に働く社員はどんな人か
タッチポイント(接点)採用面接、コンピテンシー面接、オンライン面接

採用候補者と対面で接するタッチポイントが採用面接です。企業が自社にふさわしい人かどうかを選別する機会ですが、採用CXを最大化する最大のチャンスでもあります。例えば、事前に会社資料を送って読んでもらう、理解が進む採用動画を見てもらうなど採用コンテンツを活用して情報を提供することです。面接対策のためではなく、自社が求めている人物像をわかってもらう、自社に合わないと思った候補者が事前に辞退してもらうことで互いに無駄な時間を作らなくて済みます。企業側も採用候補者のためにできることをしましょう。

また、採用面接は企業が合格者を選んでいるようで、候補者も企業を選んでいます。内定辞退に大きく関わるのが面接官の印象。内定辞退をした社会人にアンケートをとったところ、7割もの回答が「面接官の印象が良くなかった」でした。

面接は直接、人と人が接するタッチポイントなので、採用CXにおいて最も重要な部分です。採用面接で悪い印象を与えるNG行動をしない、来社できないオンライン面接のデメリットを補う、採用候補者の満足度を上げるコンピテンシー面接を実施するなどが重要です。

関連記事:採用面接の質問事例やNG行動、成功チェックリストを紹介
関連記事:コンピテンシー面接とは?メリットや質問例を解説
関連記事:オンライン採用とは?メリットや成功ポイントを解説

内定(入社)

候補者の感情入社するメリットはあるか、
タッチポイント(接点)メール、会食、研修

面接を通過した候補者に内定通知を出したあと承諾をしてもらい入社するタッチポイントです。一般的に企業の内定辞退率は50%前後と考えられており、この割合をいかに下げるかが重要です。採用マーケティング会社の調査によると、内定辞退した採用候補者が企業に望む内定後のフォロー上位5つは下記です。

  1. 社員との交流:71.5%
  2. 他の内定者との交流:48%
  3. 人事担当者との面談:46.9%
  4. 社内や関連施設の見学:33.7%
  5. 電話やメールなどの定期連絡:23.4%

積極的に採用候補者と交流し、採用CXをあげましょう。

採用CXの改善方法のポイント

  • 採用候補者に情報を提供する
  • 採用コンセプトを明確にする
  • 候補者の声をよく聞く
  • 心を動かすコンテンツを作る
  • 面接のフィードバックをする

各フェーズで意識することは説明しましたが、採用CXに取り組むにあたって意識すべきポイントを5つ紹介します。

採用候補者に情報を提供する

採用CXの基本概念が「採用候補者に情報を提供する」こと。当たり前のことですが、できている企業が少ないのが現実。候補者は応募すべきか、入社すべきかを判断するために企業情報を求めています。採用サイトや採用動画などの採用コンテンツを充実させ、積極的に発信することで採用候補者に情報を届けましょう。応募してくれた候補者に自社の採用コンテンツのリストをメールで送るなども採用CXを高めることにつながります。

採用コンセプトを明確にする

採用CXに取り組むうえで軸になるのが採用コンセプトです。採用コンセプトは「誰に、何の目的で、何を伝えるか」の方向性のこと。採用活動を行っていく上での構想であり、求める人物像に刺さる概念、自社の魅力や強みを言語化したもの。どんな人物を求めているのか、自社の強みや魅力など採用の屋台骨となるものです。

この採用コンセプトを軸にして様々な採用コンテンツに落とし込んでいきます。逆に採用コンセプトが明確でなければ社員の間で意思統一ができず、採用コンテンツでアピールすることがバラバラになり、採用候補者の体験を最大化できません。

関連記事:採用コンセプトとは?事例や作り方を解説!

候補者の声をよく聞く

採用CXを改善する最大のコツは候補者の声をよく聞くことです。応募者と話す中で改善点を見つけていきます。会社説明会や面接の際に下記のような質問しましょう。候補者と接する機会がなければ1年目の新入社員でも良いです。

  • 以前はどういう会社だと思っていたか?
  • 入社したらどういう部分で活躍できそうか?
  • 採用コンテンツを見て数年後のイメージは湧いたか?

ただ質問するだけだと、良いことしか言わないことが多いです。採用CXを改善するための質問であると目的を伝えたうえで採用候補者の本音を引き出しましょう。

心を動かすコンテンツを作る

採用CXを最大化するには心を動かす採用コンテンツを作ることが不可欠です。最もエモーショナルに訴えるのは採用動画ですが、採用サイトや採用ピッチ資料なども同様です。ただ乱雑に情報を並べるのではなく、採用候補者が知りたいニーズに応えつつストーリー性を持たせることがポイント。採用キャッチコピーひとつで採用候補者の心をグッと掴むことも可能です。

採用コンテンツは会社からも成果を求められ、企業ファーストになりがちです。いかに採用候補者が知りたいニーズに応えられるか、感情に訴えることができるかを意識しましょう。

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面接のフィードバックをする

採用面接のフィードバックを候補者に伝えることは採用CXを高めるうえで重要です。実際にやるのは大変なので、実施していない企業が大半。逆に言えば、きちんと面接の何が良かったか、何が悪かったかを伝えれば競合他社と差別化できます。

採用CXの事例

最後に採用CXを最大化して採用を成功させた事例を紹介します。業種に関わらず、どの企業にも応用できることなので参考にしてください。

SNS広告を活用した採用CX

当サイトhypexが採用支援をした事例です。toCの一般消費者向けのサービスを提供する企業の話です。その企業は応募が集まらず、面接設定ができないことが採用課題でした。様々な採用媒体や人材紹介を使いましたが、年間の採用が0人という状況。

そこでhypexが提案したのがSNS広告です。「一度サービスを受けにきてください。それで応募するかどうかを判断してください」と広告を打つと、意外にもサービスを受けた人からの応募が増えました。事業やサービスが良いとわかれば、そこで働きたいと思うのです。

結果、1年間で6人も採用でき、しかも欲しかったターゲットである20代の採用ができました。このように、まず候補者にサービスを体験してもらうことで採用CXを最大化しました。

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採用CXまとめ

最後までご覧いただき、ありがとうございます。採用候補者が企業を選ぶ時代、採用CXを最大化できるかが採用の成功を左右します。ノウハウは存在するものの、何よりのポイントは採用候補者の実際の声を聞くことです。もし採用CXについて相談したい、採用CXを手伝って欲しい方は採用支援のhypexにご相談ください。貴社の採用目標や課題などをオンラインでヒアリングし、最適な提案をさせていただきます。相談料は一切かかりません。