オウンドメディアリクルーティングとは?注目される背景、メリットや成功事例を紹介!
2024.05.14
現在の採用では結果が出ず、新たに「オウンドメディアリクルーティング」を始めるか検討している企業が増えています。この記事では、オウンドメディアによる採用の効果やメリット、成功した企業の事例を紹介します。
最後まで読めば、オウンドメディアリクルーティングを始めるべきか判断できます。採用の強化を考えている方は参考にしてください。
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オウンドメディアリクルーティングとは?
オウンドメディアリクルーティングとは、採用に特化したオウンドメディア(自社で運営するメディア)から採用情報を発信し、応募や採用に繋げることです。「Owned Media Recruiting」は略して「OMR」や「採用オウンドメディア」とも呼ばれます。採用オウンドメディアでは業務内容や社員のインタビュー、福利厚生の紹介など企業を理解してもらう採用コンテンツを発信します。求職者は入社の条件や給料などの他に「入社後の自分をイメージするための情報」を求めています。求職者のニーズに最も応えられるのがオウンドメディアリクルーティングです。
上の画像は当サイトhypexで働いていたインターン生にインタビューした記事です。オウンドメディアの定義は幅広く、主に下記を指します。
- ブログ
- SNS
- YouTube
広義の意味ではTwitterやInstagramなどのSNSアカウント、YouTubeチャンネルなどの動画コンテンツも採用オウンドメディアに含まれますが、採用におけるオウンドメディアは、主に記事コンテンツやnoteなどを使った採用ブログを指します。その他の手法については下記をご覧ください。
関連記事:SNS採用とは?活用方法、メリット、成功事例、注意点を解説
関連記事:YouTubeを使って採用を行うべき企業とは?チャンネル運営のメリットや注意点を解説!
採用サイトとの違い
採用オウンドメディアと採用サイトの違いは、主にターゲットと目的です。採用サイトはすでに企業に興味関心を抱いている、もしくは応募のモチベーションもある候補者が訪れる窓口です。一方のオウンドメディアは、転職願望や企業に興味がない潜在層(未来の候補者)もターゲットになります。
採用オウンドメディアの記事コンテンツを読んでもらうことで、「面白そうな取り組みをしている企業だ」「社員が楽しそうだ」などと、応募への興味関心を醸成させられます。
採用サイトと採用オウンドメディアの構造上の違い
画像出典:ユナイテッド株式会社
また、採用サイトは上のように、できるだけ少ない情報量とデザインを駆使して候補者に自社の魅力を伝えることが目的。デザイン性が重視される点では「見る」ものであり、オウンドメディアは書かれている内容が重要な「読む」ものです。
関連記事:採用サイトの効果とは?メリットや目的、運用方法を解説
オウンドメディアリクルーティングが注目される背景
オウンドメディアリクルーティングが注目される背景は主に3つあります。
- 優秀な人材の採用が難しいため
- 入社理由が多様化しているため
- 入社後の情報が重要になるため
優秀な人材の採用が難しいため
少子高齢化に伴い、企業の人材不足が顕著になる昨今、それでも競走を勝ち抜くには優秀な人材を採用する必要があります。応募の窓口を増やす「数打ちゃ当たる」の方法もありますが、企業とマッチする人材を獲得するには、まず自社のことを理解してもらうことが重要です。オウンドメディアリクルーティングは、求人媒体と違って制約や制限がなく企業情報を発信できる採用メディアなので、企業を理解してもらうのに最適です。そのため、しっかり情報を届ける採用オウンドメディアが注目されているのです。
入社理由の多様化
優秀な人材を獲得したいという企業側の事情とは対に、応募者も企業を選ぶようになっています。ネット時代の今は企業の情報収集が以前より容易になっているため、どんな会社なのかを入社前に知ろうとします。単に給料や職場環境の良さだけでなく、企業が目指す未来、社員、社風などを吟味して応募します。カルチャーフィットするかどうかが重要です。そのため、採用オウンドメディアによって、しっかりと情報を発信する重要性が増しているのです。
関連記事:カルチャーフィットとは?見極める方法や採用の準備を紹介
入社後の情報が重要になるため
求職者は「入社後の自分をイメージするための情報」を求めていると言いました。入社後をイメージするのは、応募するかどうかの判断のほかに、入社後の早期退職にも影響してきます。せっかく採用して入社してもイメージと違って早期退職すれば苦労が水の泡。入社後1年以内に辞める場合の企業側の損失は数百万円になり、採用コストが膨らみます。「それなら最初から応募してもらわないほうが良かった」というケースが多いのです。そのミスマッチを防ぐためにもオウンドメディアリクルーティングが注目されています。
※ここまで読んでオウンドメディアリクルーティングに取り組むべきか相談したい、もしくは代行して欲しい方はhypexにご相談ください。オンラインでヒアリングをし、最適な提案をさせていただきます。相談料など一切かかりません。
オウンドメディアリクルーティングに取り組むメリット
続いては、オウンドメディアで採用をするメリットを4つ紹介します。オウンドメディアリクルーティングに取り組むべきか判断材料にしてください。また、メリットを理解しておくと、実際に作るときに何を盛り込むかも明確になります。
- 広告費を抑えられる
- 潜在層にアプローチできる
- 企業理解が深まる
- 入社後のミスマッチを減らせる
広告費を抑えられる
- 掲載期間を気にしなくていい
- ランニングコストがかからない
オウンドメディアリクルーティングの最初のメリットは、採用の広告費を抑えられることです。記事コンテンツの制作費用はかかるものの、採用媒体のように掲載期間を気にする必要がなく、契約料金のようなランニングコストもかかりません。応募の窓口が増えれば、求人サイトや他の採用媒体に出稿する広告費を減らせます。
目安として、求人サイトから1人採用するのにかかる費用は50万円以上。オウンドメディアの記事コンテンツの制作費は1記事3万円前後になるため(内製の場合はもっと低い)、15記事つくっても45万円。15記事の中から1つでも採用につながれば、求人媒体よりもコスパが良くなります。
また、求人媒体やSNSなどで記事コンテンツを公開することもできるため、二次利用することもできます。オウンドメディアのコンテンツは、優秀な採用広報の営業マンなのです。
関連記事:採用コスト(採用単価)とは?削減する方法や成功事例を解説
潜在層にアプローチできる
オウンドメディアリクルーティングの2つ目のメリットは、まだ応募のモチベーションがない潜在層にもアプローチできることです。記載できる内容が限定される求人媒体と違い、オウンドメディアに載せるコンテンツは色んな種類があり、すでに興味を持っている人向けの記事、目次を見て興味を引く記事など様々です。例えば下記の記事はオウンドメディアリクルーティングの特色を生かした記事コンテンツです。
企業名や事業の内容を知らない人でもタイトルを見て興味を持ち、SNSでシェアされて多くの人が閲覧しました。後ほどオウンドメディアの作り方で紹介しますが、「この会社は面白そうな取り組みをしているな」「社員が楽しそうだ」などと思ってもらうことで、転職願望やその会社への関心がない人の興味を醸成させられます。
最近ではSNSのTikTokで会社の楽しい日常風景や、面白い社員を紹介して採用に結びつける企業が増えているのも、潜在層を獲得する狙いがあるからです。オウンドメディアは情報発信というより、オンラインを通じたコミュニケーションの手段としても有効です。
企業理解が深まる
参照:下戸なのに必ずユーティルの飲み会に参加するコンテンツ伝道師に魅力を聞いてみた
採用オウンドメディアで自社情報を発信することで企業の理解が深まるのは自明ですが、第三者から見た会社の印象を載せられることもメリットです。
例えば上の画像のように社外の人間から自社がどう見られているのかなどインタビュー記事を載せることで、自社の視点にない企業の魅力を伝えられ、同時に第三者の意見による信頼感が醸成されます。
採用サイトはどうしても自社発信に偏りがちですが、様々な切り口から情報発信できるのもオウンドメディアリクルーティングのメリットです。
入社後のミスマッチを減らせる
オウンドメディアは自社発信のため、企業の魅力を正確に、詳しく様々な項目で伝えることができます。応募者の企業理解を促すことで、「入社前のイメージと違った」などのミスマッチを減らす効果もあります。また、採用オウンドメディアで企業のことを好きになって応募すれば、やりがいを持って入社するので早期退職も減らせます。
オウンドメディアリクルーティングのデメリット
企業が取り組むベキオウンドメディアリクルーティングですが、もちろんデメリットもあります。立ち上げてから後悔しないように、事前に把握しておきましょう。
- 作り続けるリソースが必要
- コンテンツを作るスキルが必要
作り続けるリソースが必要
オウンドメディアリクルーティングは1つコンテンツを作って終わりではありません。コンテンツを作り続けるリソースが必要です。
少ない記事本数で成果が出ることもありますが、応募に繋げるためには、基本的に大量のコンテンツを作る必要があります。コンテンツを読んでもらうためにSEO(検索エンジンで上位に表示される手法)から流入を狙うのであれば、最低でも100記事は欲しいところ。
また、企業の理念や文化など変化があったとき、情報を更新する必要もあるため、コンテンツを作り続ける人材の確保が必要となります。
コンテンツを作るスキルが必要
オウンドメディアリクルーティングの成果を出すためには、「読者(候補者)にどのような態度変容をしてもらいたいのか」を設計して記事を作る必要があります。
ただ闇雲に記事を大量生産しても候補者の心を動かせなければ意味がありません。また、先ほどのSEOで成果を出すためにも、専門の知識が必要になります。
きちんと戦略を練って、コンテンツ設計をできるスキルが求められます。初めてオウンドメディアを作る方は、まずはプロに依頼してノウハウを学んでから自社でやる方法がおすすめです。
オウンドメディアリクルーティングに必要なコンテンツ
「オウンドメディアリクルーティングは、どんなコンテンツを作ればいいのか分からない…」という方のために、採用オウンドメディアで作るべきコンテンツを紹介します。基本的には、4Pと呼ばれる項目×エピソードを盛り込んでいくと良いでしょう。自社で発信したい項目を入れてオリジナリティを出していきます。4Pは以下の項目です。
- Profession(仕事・事業)→1日の業務や仕事内容、プロジェクト報告、イベントレポート
- People(人材)→社員インタビュー
- Philosophy(理念)→ミッション・バリュー、経営者からのメッセージ
- Privilege(待遇)→福利厚生や職場環境の紹介
関連記事:企業の魅力を高める「4P」が求職者を惹きつける採用のカギ!
仕事・事業
まずは、1日の業務や具体的な仕事内容を紹介するProfession(仕事・事業)の項目。自社で仕事をする魅力を伝えることが主な目的です。
日頃の業務風景や、業務内容を伝えることで、興味・関心を醸成するとともに、自社が望む人材に応募してもらうようにします。テキストの説明だけは伝わりづらいので、写真はもちろん自作の図解を作ることも大切です。応募者の理解が深まるとともに、オリジナリティも出るので印象に残ります。
さらに、日々の定型の仕事だけでなく、最近注力しているプロジェクトの報告や、セミナーなどのイベントレポートも入れると良いでしょう。
社員インタビュー(社員紹介)
画像出典:株式会社ユーティルnote
続いては、People(人材)に関するコンテンツです。社員インタビューが中心になり、社員と働くことで得られるメリットを訴求することが主な目的です。
必ず入れて欲しいのは、「なぜここで働いているか」の理由。「つらい時になぜ辞めなかったのか」まであると、さらに良いです。
「企業は人なり」と言われるように、社員紹介は、企業への興味喚起や応募の決め手にもなる重要な要素。単独のインタビューだけでなく、下のように複数の社員の座談会も入れると、企業理解が深まる上に、人間関係も伝えることができます。
事実、就職活動中の学生が企業に求める項目の上位には、「社員の人間関係が良い」ことが挙げられます。もし企業の離職率が低いのであれば、「なぜ〇〇会社の離職率は〇〇%以下なのか?」といった記事があっても面白いでしょう。離職率を公開する企業は少ないので、差別化できるとともに、実は離職率は求職者の高い関心でもあります。
【社内アンケートもおすすめ】
参照:ユーティルの口コミ・評判は?社内アンケートで見えた在籍社員の本音
オウンドメディアならでは取り組みとして、社員が会社のことをどう思っているかアンケートを載せるのも面白いでしょう。
- 努力が正当に評価されているか?
- 成長の機会があるか?
- チームは風通しが良いか?
候補者が気になる項目をアンケート形式で社員で回答してもらうことで、応募前・入社前に企業理解が深まり、ミスマッチを減らせます。
企業理念・ミッション・バリューの発信
3つめは企業理念・ミッション・バリューの発信です。4PのなかのPhilosophy(理念)にあたる部分です。経営者からのメッセージなど、組織のビジョンの魅力・やりがいを伝えましょう。特にスタートアップ企業や中小企業はヒトモノカネで大手企業には敵いません。何で勝つのかと言えば企業理念・ミッション・バリューの想いや夢です。
企業理念などは採用サイトにも必ず載せる項目ですが、他のコンテンツとの兼ね合いもあるので、情報量に限りがあります。そのため、フワッとした説明しかできず、読んでも候補者が理解できるとは限りません。
その点、オウンドメディアでは記事コンテンツでしっかり説明ができるので、より伝えたいことを盛り込めます。当サイトhypexが制作した、株式会社ユーティルの以下のコンテンツがその例です。
ミッションのない組織はキャラのない組織だ。ユーティルがユーティルである条件
企業や理念に関することも座談会形式にして社員が理念について語り合う記事にすれば、実体験などで語ることができ、候補者が自分ごと化しやすくなります。
企業理念やミッションなどは、エモーショナルな部分になるので、記事コンテンツだけでなく、動画などで経営者からのメッセージがあると、さらに訴求力が高まります。
関連記事:採用動画の効果とは?注目される理由、メリット、トレンドを紹介
職場風景・福利厚生(制度や文化)の紹介
4Pの最後はPrivilege(待遇)、福利厚生や職場環境、制度や文化の紹介です。組織に属する事で得られる魅力を訴求します。日頃の業務風景や育児休暇などの制度、社内のイベントなど。
「福利厚生制度が充実している」は学生が企業を選ぶときに重要視するポイント。事業や社員以外に、働く環境としての魅力を発信しましょう。記事コンテンツはもちろん、動画があると、よりリアルな職場環境が伝えられるでしょう。
【番外編】就職活動に役立つ情報
画像出典:朝日新聞出版
番外編になりますが、「就職活動に役立つ情報」はおすすめ。自社情報とは異なりますが、就職活動に役立つ情報は有益情報として多くの求職者に読んでもらえ、好感も得られます。
例えば、上の朝日新聞出版は、自社メディアで昨年度の内定者から就職活動生へのメッセージを、計7回にわたって届けています。すでに応募を決めている候補者の参考になることはもちろん、他社を受ける際にも参考になるので、様々な人がサイトに訪れます。
オウンドメディアリクルーティングの始め方
- 目的を定義する
- ターゲットを明確にする
- 運営体制を整える
- オウンドメディアのサイトを作る
- コンテンツを作って公開する
続いてはオウンドメディア採用の始め方を5つのステップに分けて解説します。
目的を定義する
闇雲に採用コンテンツを作っても成果が出ず、継続に至りません。まずは、オウンドメディアリクルーティングの目的と成果を設定しましょう。
◎目的の例
- 面接の際に採用コンテンツを読んだと言ってもらう
- 入社前に社員や社風を覚えてもらう
- 外側から見えにくい業務を理解できるようにする
どんな目的を達成したいかによって作るべき採用コンテンツが変わってきます。社員の理解ならインタビュー記事や座談会などが該当します。和気あいあいとした雰囲気を伝えたいのであれば採用動画が向いているかもしれません。入社後の業務をイメージしてもらいたいなら、社員の1日に密着したコンテンツが良いなど、目的を明確にすることで方向性が決まってきます。
ターゲットを明確にする
目的が決まったら、どんな人材を採用したいのかターゲットを明確にします。せっかく採用コンテンツを作ってもターゲットに刺さらなければ意味がありません。また、ターゲットによってはSNS、YouTubeなど、どの媒体で発信すべきかも変わってきます。例えば、地元愛が強い人を採用したいのであれば、地元の情報メディアなどに宣伝するのが良いでしょう。採用ターゲットによってオウンドメディアリクルーティングの方向性やカラーが変わってきますので、できるだけ明確に設定しましょう。
採用ペルソナを決めるときは、自社にいる理想に近い写真をモデルにすると良いです。詳しくは下記で説明していますので合わせてご覧ください。
関連記事:採用ペルソナとは?採用ターゲットとの違いや作り方を解説
運営体制を整える
内容 | |
ライター | 記事の構成作成・執筆 |
編集者 | 記事の原稿を編集する |
デザイナー | オリジナルで画像を作成 |
記事入稿 | 記事を公開する |
校閲 | 誤字脱字や情報間違いがないかチェック |
写真撮影 | カメラマンが写真を撮影 |
オウンドメディアリクルーティングは採用コンテンツを作り続ける費用があります。そのためには様々な役割を持った人員が必要です。写真のクオリティにこだわるならカメラマンをアサインする必要があるでしょう。ライター、編集者の他に、校閲が必要かもしれません。どんな採用オウンドメディアにするか決めたあとは、運営体制を整えることが大切です。
オウンドメディアのサイトを作る
画像引用:ラフィネグループ新卒採用サイトブログ
運営体制が整ったらオウンドメディアのサイトを作っていきます。当サイトhypexはWordPressを使ってオウンドメディアを運用していますが、ブログツールのnoteを使う場合もあれば、TwitterやInstagramのアカウントをオウンドメディアにするかもしれません。適切な採用ツールを使って採用オウンドメディアを構築していきます。
コンテンツを作って公開する
画像引用:ラフィネグループ新卒採用サイトブログ
オウンドメディアのツールを決めたら、どんどん記事を作成してきます。時に取材を行い、カメラマンによる撮影なども行いながら記事を作っていきます。公開したあとはGoogleアナリティクスやサーチコンソールなどの分析ツールを使って効果を測定し、悪い部分は改善しましょう。自社で分析できることも採用オウンドメディアのメリットです。
オウンドメディアリクルーティングのコツは「透明化」「意味報酬」
オウンドメディアの記事コンテンツを作るときは「透明化」「意味報酬」の2つを意識しましょう。採用候補者は自社の業務や社員、雰囲気など何も分かりません。採用オウンドメディアによって、ブラックボックスをいかに透明化できるかが効果が出るポイント。赤裸々に自社のことを公開しましょう。
一例を挙げます。筆者が採用支援をした企業は、色んなクライアントからPR記事を書いてほしいと依頼を受ける編集プロダクションでした。ライターや編集者を募集する際、単に記事作成の工程や必要なスキルを紹介するだけでは不十分です。なぜなら、クライアントとミーティングなどやり取りする機会が多く、 営業スキル、コミュニケーション能力も必要だったからです。
文章が上手い、リサーチ能力が長けている能力はもちろん、クライアントとのやりとりも透明化して公開することで採用広報社が働くイメージを持つことができます。逆に透明化できていなければ、黙々と記事を作ればいいと思って入社したのに話が違うじゃないかとミスマッチが起きます。
もう一つは候補者に「意味報酬」を提供すること。単に給料や職場環境を伝えるだけなら、わざわざ採用オウンドメディアを作る必要はありません。求人媒体で十分です。オウンドメディアリクルーティングの真髄は、自社で働く意味、意義を候補者に伝えることです。仕事のやりがいや成長など、意味報酬を提供しましょう。
オウンドメディアリクルーティングの運用方法
- 成果を定義する
- 記事の改善(リライト)を同時進行する
- 採用サイトと連携させて強化しよう
続いてはオウンドメディアリクルーティングで成果を上げるための運用方法・コツを3つ紹介します。
成果を定義する
①採用コンテンツを100記事リリース
②月間のPV(閲覧数)が10,000以上
③月の応募が〇〇件以上
採用オウンドメディアを公開して採用コンテンツを量産していきますが、ただ作り続けても、それが成功なのか失敗なのか判断できません。採用コンテンツを作るにも費用がかかるので、投資に見合っているのか確認しながら運営していきます。
最終ゴール(オウンドメディアから応募が月〇〇件など)を決めることはもちろんですが、すぐに成果を成果を生むわけではないので、マイルストーンを置きながら運営していきます。いきなり応募に繋げるのは難しいので段階を踏んで目標を達成していくと良いです。
記事の改善(リライト)を同時進行する
オウンドメディアの採用コンテンツはリリースして終わりとは限りません。記事作りは子育てと一緒。成果につながらなければ改善(リライト)を行います。例えば、閲覧数は多いけど応募が少ないケースなどが該当します。また、SNSでシェアしたけど反応が薄い、評判が良くないなどもコンテンツを改善していく必要があります。オウンドメディアリクルーティングは作ってからが始まりと考えてください。
採用サイトと連携させて強化しよう
採用オウンドメディアは採用サイトや企業サイトと相互に連携しましょう。閲覧数が増えるのはもちろん、互いのサイトが強化されます。採用サイトのSEOなどにも有利です。また、自社だけで採用オウンドメディアに集客するには限界があります。記事を公開したらSNSで告知し、それをリツイートなどしてくれる社外の協力パートナーを探すことが重要です。提携のある会社のSNSアカウントなどで告知してもらえるよう営業・広報活動もオウンドメディアリクルーティングです。「SNSでシェアお願いします」と社内や社外にお願いしましょう。
関連記事:採用サイトのSEO13選!対策のメリットや注意点を解説
オウンドメディアリクルーティングの事例
オウンドメディアリクルーティングの事例を5つ紹介します。これからオウンドメディアを作る際に、似た事業や良いと思ったポイントを参考にしてください。
ナイルのかだん
画像出典:ナイルのかだん
最初に紹介する事例は、Web、アプリなど様々な領域でデジタルマーケティングを行うナイル株式会社の採用オウンドメディアです。ナイルが育っていく過程を発信する場でありたいという意味から「ナイルのかだん(花壇)」として2018年にリリース。社員インタビューや会社のカルチャー、最近の取り組みなどを紹介しています。
当初、ナイルの採用課題が「SEOコンサルティングだけの会社」と候補者から誤ったイメージを持たれていたこと。そこで、様々なバックグラウンドをもった社員、デジタルマーケティング全般の事業を紹介できるオウンドメディアリクルーティングを選択。
エージェントや転職媒体よりも自社サイト経由のほうが、内定承諾率が高くなり、採用数アップにつながったと考えられています。ナイルでは企業理解を深めるために、応募者の面接の前に「この記事を読んでください」と、「ナイルのかだん」を活用しています。
メルカン
画像出典:メルカン
2つ目の事例は、フリマアプリのサービスを運営する株式会社メルカリのオウンドメディア。2016年にリリースされ、メルカリの採用試験を受ける人の100%がメルカンを知っているといったデータもあります。これほど社内のことが筒抜けでいいのか?といった情報が特徴で、主に次の3つがメルカンの強みです。
- 更新頻度が高い
- 経営陣もコミットしている
- 社員全員のメディアを意識
今や誰もが知る企業となったメルカリですが、それでもメルカンは月に10本以上の記事をリリースしており、高い更新頻度を保っています。現場だけが発信するのではなく取締役や経営陣も記事をSNSでシェアしている点も強み。さらに、メルカンはメルカリグループのメンバー全員が発信することができるプラットフォームになっており、社員全員のメディアであることを意識。団結力の強さも成功の秘訣です。
日本マクドナルド
画像引用:日本マクドナルド採用オウンドメディア
誰もが食べたことのあるマクドナルドはオウンドメディアリクルーティングのパイオニアと呼べる企業です。採用オウンドメディアの立ち上げたのが2016年。大きな成果を生んだのは2020年以降と長期的に取り組んできました。
いかに応募の時点で就業をイメージしできるか、安心して応募できるかの2点にこだわって記事コンテンツを作成。仕事内容は複数あるポジションの紹介からし、働いている人の属性や先輩クルーの声として「実際に働いてみての感想」も公開しました。提供できる情報をできる限り公開し、仕事や職場の環境、一緒に働く仲間のことを知ってもらっています。
ユーティル
画像引用:株式会社ユーティル採用サイト
企業のDXかを推進する株式会社ユーティルはオウンドメディアリクルーティングに力を入れています。採用サイト内にオウンドメディアを連載し、BtoBという外から見えにくいハンデをカバーをしています。ユニークなコンテンツとして、社員に100の質問をしたり、匿名で社長に100の質問をする記事など、社内の明るい雰囲気が伝わります。当サイトhypexも少しお手伝いをしているので、ぜひ参考にご覧ください。
ニトリン
画像出典:ニトリン(2023年5月20日をもって終了)
最後はインテリア小売業のニトリ株式会社のオウンドメディアリクルーティング。2020年に、採用オウンドメディア『ニトリン』を立ち上げ、社内のカルチャー、キャリア、社員教育、モノづくりの開発秘話などを発信。サイト名には、NITOR-in、ニトリのインサイドを伝えるという想いを込めています。
ニトリでの働き方や企業文化を正しく理解してもらうことで、入社後のギャップを減らすこと、活躍までの期間を短くするプレボーディング(入社前の下準備)の狙いもあります。
採用に特化したインスタグラムも立ち上げ、ニトリンの記事も発信することで相乗効果を狙はかっています。※『ニトリン』は2023年5月20日をもって終了しました。
関連記事:採用オウンドメディアの参考事例12選
オウンドメディアリクルーティングの費用・料金
採用コンテンツの制作費
内容 | 費用 | |
構成 | 記事の構成作成 | 4,000円〜12,000円 |
ライティング(執筆) | 記事の原稿を執筆する | 3,000円〜50,000円 |
編集 | ライターの原稿を修正する | 4,000円〜10,000円 |
イラスト・図解作成 | オリジナルで画像を作成 | 500円〜3,000円/枚 |
記事入稿 | 記事を公開する | 1,500円〜3,000円 |
監修・ファクトチェック | プロや専門家が原稿をチェック | 10,000円〜 |
写真撮影 | カメラマンが写真を撮影 | 30,000円〜50,000円 |
最後にオウンドメディアリクルーティングの費用を解説します。採用コンテンツ1記事にかかる費用は30,000円〜50,000円前後が相場です。記事を専門家に監修してもらう場合はプラスで10,000円、写真撮影をプロカメラマンに依頼する場合はプラス50,000円前後かかります。取材が発生する場合は、ライターの交通費などもプラスされます。
「構成」はタイトルや見出しなど記事の企画や構成案を考える作業です。「執筆」はライターのスキルや取材が発生するものなどによって費用が変わります。
オウンドメディアの構築費用
- サイト設計費:オウンドメディアの全体像やコンテンツの企画を考える
- ページ制作費:記事や動画コンテンツの制作費
- CMS設計費:WordPressなどのCMSの設置費
- スマホ対応費:スマートフォンでも見やすく最適化する
- 諸経費:問い合わせフォームやその他の機能の設置
- CMS運用マニュアル作成費:マニュアルの作成費
オウンドメディアそのものを構築する場合は上のような費用がかかります。
オウンドメディア構築の見積もり
項目 | 備考 | 単価 | 数量 | 金額 |
サイト設計・サイトデザイン | 300,000 | 1 | 300,000 | |
CSSコーティング・HTML構築 | HTML5にて構築 | 200,000 | 1 | 200,000 |
各ページ制作 | 1ページA4で換算 縦長ページは複数ページ | 20,000 | 10 | 200,000 |
スマートフォン対応 | レスポンシブ対応 | 200,000 | 1 | 200,000 |
CMS組み込み・カスタマイズ | WordPress最新版を組み込み | 200,000 | 1 | 200,000 |
お問い合わせフォーム設置 | メールフォーム | 50,000 | 1 | 50,000 |
サーバーアップロード | 50,000 | 1 | 50,000 | |
CMS運用マニュアル作成 | 100,000 | 1 | 100,000 |
実際のオウンドメディア構築の見積書です。合計で130万円です。10ページの採用オウンドメディアで、スマホ対応やCMSの運用マニュアル作成など諸経費も含んでいます。これが一般的なオウンドメディアの料金です。
【まとめ】オウンドメディアリクルーティングのポイント
最後までご覧いただきありがとうございます。この記事では、オウンドメディアリクルーティングへの取り組みを紹介してきました。オウンドメディアリクルーティングとは、ブログやSNS、YouTubeなどのオウンドメディア(自社で運営するメディア)から採用情報を発信し、人材獲得することです。
オウンドメディアは単純に情報を入れれば良いわけではありません。訴求ポイントを絞り、ターゲットが求めているものを理解し、ストーリー性を持たさないと効果が出ない難易度の高い採用方法です。未経験であれば、なかなか成果が出ないでしょう。
【オウンドメディア】成功事例を調査したレポートもありますので下記よりダウンロードください。
まずはプロに代行を依頼した上で、そのノウハウを学んでから自社で取り組む方法が近道。自社で難しいと思った方は、hypexにご相談ください。支援させていただいた企業は月間300名以上の応募を獲得しています。相談料は一切かかりませんので、お気軽にお問い合わせください。
成長企業における採用ブランディング・採用マーケティングを専門とし過去2年で50社以上を直接支援。前職では、月間150万利用者数を超える医療・美容のWebサービスの事業責任者、兼経営陣として組織の成長を牽引。成長組織におけるOKRを利用した評価制度の構築や外国人、ジェネレーション、女性、LGBTQ+などのダイバーシティ・マネジメントに尽力。